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【広島】赤松真人が後輩・野間峻祥へ送った熱いメッセージ

文春野球コラム ウィンターリーグ2017

2017/12/02
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赤松から後輩・野間への熱いメッセージ

 マツダスタジアムでサプライズがあった少し前、週刊ベースボールでカープ特集があった。その中に赤松からのメッセージという記事があって、すごく読み応えがあるものだった。練習を再開した赤松の手記の形の記事で、厳しい自分の状況も隠さずに伝えようとしているように思われた。「野球をやる前にまず、生きるか死ぬか」ということを考えて選択をしたことが書かれていた。手足にしびれは残ってしまうが、外野手だからなんとかなると思う、ということだった。平静に自身の状況が綴られている。自分は記事を読んでいるのだけど、静かな場所で神妙に話を聞いている、という感じがした。赤松の挑んでいることの難しさは想像つかなかった。

 記事の中には野間峻祥へのメッセージもあった。野間は3年目のドラ1の俊足外野手で、つまり赤松と同じタイプの選手だ。今年は赤松の代わりに、代走の切り札と外野の守備固めをやっていた。この野間へのメッセージが熱いものだった。「(野間は)今のポジションを大事にしているのだと思います」とあるが、続けて、本当に考えてプレーしているか、ちゃんとノートを取っているか、と少々厳しいメッセージが並ぶ。赤松自身が若い頃に同じように途中出場していたとき、もっとやっておけばよかった、ということなのだ。俺は若い頃の代走と守備固めの経験をあとに活かせなかった、お前は俺と同じ間違いをするな、と言っている。レギュラーという言葉が何度も出てきて、代走と外野守備の職人になった俺を超えていけ、と熱くメッセージを送っている。現役選手の間での叱咤激励が誌面に載るのは、少し珍しい気がする。赤松はどんな思いで野間のプレーを観ていたのだろう。

ゲームセット後に丸佳浩(中)、鈴木誠也(右)とヒップタッチをする赤松 ©文藝春秋

 もし赤松に声をかけることがあったとしても、その言葉は少し慎重になってしまうと思う。病気が癌だっただけに、簡単に希望を言葉にするのに躊躇する。なにせ自分にできることは何もないし、どんな厳しいチャレンジなのか想像できないのだ。だから記事の最後の方の赤松の言葉に救われた。

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「自分でも想像します。マツダスタジアムに帰ってきて盗塁をできたら、すごい歓声だろうなって」

 そう、そうなんだ! 自分も同じ想像をしているのだ。本当に素晴らしいシーンになるのは間違いない。自分ができることが1つできた気がする。赤松が球場に戻ってくることができたら、これ以上ない大きな声援を送ろう。まー、その場に居合わせることはできないかもしれないけど、心の中で大きな歓声を上げることは約束できる。

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