広瀬すずさんの爽やかな青春もののCMを見るたびに、モテなかった大人たちのルサンチマンを背負わされているなあと思うのですが(部活のかわいいマネージャーとの恋など。ルサンチマンがないとああいうCMは撮れないはず)大人になってもルサンチマンというのはなかなか消え去らないようです。

 私の夫も学生時代全くモテず、ブサイクブラザーズというあだ名とともに高校時代を過ごし夏休みは水着の女子を見に自転車1時間漕いで海に行くというあの頃を過ごしておりまして、もちろんルサンチマンの明かりが灯っております。そしてそれは、結婚し娘が生まれた今もなお消えず、大学生っぽい集団が男女混合で海ではしゃいでいる姿を見ると「あいつらは信用できん!」と思いっきり偏見の目を向けているのです。

©犬山紙子

 友人のW氏(40)もそんなルサンチマンが爆発した一人。「花火大会を一緒に見よう」と二子玉の友人宅に呼ばれたけれど、少し駅に早く着いてしまったW氏。T大文学部を卒業し、その後も出版社に勤めるという生粋の文学人の彼は「では書店にでも」と書店を探したそう。で、以前ここでも取り上げたおしゃれな本屋の代名詞「蔦屋書店」が目に入ったので入ることにしたのですが、そこはやはりただの書店ではない。

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 花火があることも手伝ってか、ラテを飲みながらイチャイチャする浴衣姿のカップルでごった返していたのであります。しかも彼らの手に本があるわけでもなく、書店というよりお洒落スポットとして利用されている模様。

 それを見たW氏、「しょ……書店が……聖域が……」と愕然。「お前らは出ていけー!」と怒りが湧きあがったのであります。

 そう、W氏にとって書店は聖域。学生時代から書店に行っては本に学び、支えられ、救われてきた。他の人がチャラチャラしている(かどーかはわからないけどW氏の主観ではそう見える)間に彼は本とともに生きて来たのであります。そんな聖域が汚されるような気がしてルサンチマンが爆発したというわけで……。自分の信じる教会が他宗教の人間に土足で踏み荒らされる感覚なのでしょう。

 それにしても人によってルサンチマンのトリガーが全然違うのが面白い。私はカースト上位っぽい、場の中心にいたがる男子に対して悪意があるのですが、それも私が学生時代冴えなかったから。なんとなくその人がどんな学生時代を過ごしたのか透けて見えてしまうものですね。あなたのルサンチマンは何? はこれから興味が湧いた人に聞くテッパンの質問になりそうです。