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《歴史発掘》明治維新の契機となった「桜田門外の変」の裏に、秘められた“悲恋”があった

《歴史発掘》明治維新の契機となった「桜田門外の変」の裏に、秘められた“悲恋”があった

司馬遼太郎「幕末」をコミックで読む

2022/03/03
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 162年前の本日――安政7年(1860年)3月3日、幕府大老である彦根藩主・井伊直弼が江戸城桜田門外で斬殺された。襲撃したのは、尊皇攘夷派の水戸藩脱藩浪人17名と、薩摩藩士の有村治左衛門。23歳の治左衛門は、井伊の弾圧で父と兄が獄死した日下部松子と決行前夜、夫婦の契りを交わしていた――。

 コミカライズ版『幕末』から、幕末動乱の始まりを告げる大事件の真相に迫る。

密命を帯びた剣の達人

 薩摩藩士、有村治左衛門が密命を帯びて、江戸に呼び出される。治左衛門は自顕流の若き達人だった。

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 密命とは、「安政の大獄」を指揮して反対派を弾圧した赤鬼、大老・井伊直弼を討つこと。「国のため、民のため、斬る!!」

 

 治左衛門は、安政の大獄によって父と兄が獄死させられた日下部松子と知り合う。日下部家は、井伊討伐を目指す志士たちに力を貸していた。