1957年、敗戦から12年目に遺族が手にした6通の遺書。シベリア抑留中に死んだ元一等兵、山本幡男が書き残した遺書は、彼を慕う仲間たちの驚愕すべき方法によって、厳しいソ連の監視網をかい潜り、日本へと持ち帰られました。
収容所では文字を記すことは禁じられ、帰国時には紙一枚、外に持ち出すことは許されませんでした。では一体、どうやって──?
極寒、飢餓、重労働に屈しなかった男たちの、奇跡の物語。文春オンライン連載のコミカライズ版がこのたび最終回を迎えました。監督・瀬々敬久、主演・二宮和也で映画「ラーゲリより愛を込めて」の今冬公開も決定しています。
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スパイ容疑で長期抑留へ
山本は元満鉄調査部出身。ロシア語が堪能で、戦中、特務機関に勤めていたことがスパイ活動と見なされ、シベリアで長期抑留となります。
零下40度下での屋外作業、粗末な食事……さらに山本は「反動分子」として猛烈な吊るし上げにあいます。
死と隣り合わせの日々を過ごしながらも山本は、「ダモイ(帰国)の日はやってくる」と希望を忘れず、仲間を集めては勉強会を開き、句会を催します。
しかし、長期にわたる過酷な捕虜生活のなかで、病が山本の体を蝕みます……。