連日報じられているロシア軍によるウクライナ侵攻。戦火の被害の大きさは、日に日に大きなものとなっている。

 そんななか、キエフ市内の病院で生まれた2名の邦人の赤ん坊が、両親と面会できず市内に残されていたことが在留邦人への取材でわかった。赤ん坊は現地の医療従事者と共に3月6日にキエフを脱出。国境付近で待つ両親のもとへと向かっている。順調に移動ができれば7日中にも両親と面会を果たす予定だ。 

攻撃を受けたキエフ市内の様子

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キエフ市内に残された「2人の赤ん坊」

 現在、首都キエフ近郊はロシア軍に包囲され、各地で無差別的な攻撃が続いているとされる。国連人道問題調整事務所によると、侵攻がはじまった2月24日から3日3日までの民間人の死者数は331人、負傷者は675人と報じられている。だが、現地邦人によると「実際の死傷者はその数字をはるかに上回る」という。

 そしてそんな緊迫したキエフ市内において、生まれて間もない2名の日本人の命に危機が迫っていた。キエフ在住の邦人が証言する。

「2人は生後間もない赤ん坊です。詳細は、万が一赤ん坊が特定された際、今後の人生に大きな影響がでるため控えさせてください。両親は共に日本人ですが、やむを得ない特殊な事情でウクライナ人女性と共におり、退院後に両親の元に戻る予定でした。

写真はイメージです ©iStock.com

 ところが退院の予定日前にロシア軍による侵攻が始まってしまったんです。そのため両親は外務省からの通達を受け、日本から出国することができなくなってしまった。現在は迂回ルートを通ってウクライナの国境付近まで到着しています。子どもたちの無事を祈りながら待っている状況です」

「文春オンライン」が入手した赤ん坊の写真――。

 首もまだ据わっておらず、防寒具に身を包まれた2人の赤ん坊が、医療スタッフに大切に抱かれている。別の写真では新生児用のベッドに寝かされ、おしゃぶりを咥えている。これらはキエフを離れる直前に撮影された写真だ。6日朝、ようやく赤ん坊は現地医療スタッフやボランティアと共にロシア軍に囲まれたキエフを脱出した。