コロナ禍の現在、カラオケ店は苦しい経営を余儀なくされている。カラオケ店の店員も「飲み会の2次会などで流れてくる団体客はコロナの影響でほぼ来なくなりました」と話す。

 そのかわりに増えたのが、ひとりカラオケなど少人数で来店する客だが、そうした客には問題行動を起こす人も少なからずいるという。カラオケ店のヤバい客とはどんな人たちなのか。カラオケ店で働いていた元店員に話を聞いた。(取材・文=押尾ダン/清談社)

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ノーマスクで来店して、受付で押し問答

 近藤真司さん(仮名、26歳)は、今年1月ごろまで都内の某カラオケチェーンで働いていた。まん延防止対策の実施期間を除くと、深夜帯を中心に週に5日ほどシフトに入っていたという。

──コロナ禍以降、カラオケ店の客層はどう変わりましたか。

近藤 歌うときに放出される飛沫は話すときの5~6倍といわれるので、店として消毒や換気は徹底していました。それでも飛沫が飛ぶのを気にする人はカラオケ店に来なくなりましたね。逆にいうと、いまの時期にカラオケ店に来るのは、コロナに感染するのをあまり気にしない人なのかもしれません。

 コロナ以前は、大人数で来店して大騒ぎする陽キャのウェイ系が多かったのですが、最近は2~3人の少人数のグループで、どちらかというと静かで陰キャのお客さんが目立ちます。受付する時点でヤバい感じがするお客さんも増えているというか……。

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──具体的に、どういうところがヤバいんですか。

近藤 たとえば、マスクをつけずに来店する人がよくいます。カラオケ店にかぎらず、いま外出時のマスク着用って常識じゃないですか。店舗や施設などに入るときは、マスク着用と検温がルールであり、公共のマナー。ところが、カラオケ店には「マスクを忘れてきた」などと言ってフロントでゴネて、ノーマスクで入店しようとする人がけっこういるんです。

──受付時にマスク着用をめぐってゴネられるのは迷惑ですね。

近藤 カラオケ店のフロントスタッフの業務って、「年齢」「会員登録の有無」「利用時間」「飲み物」「カラオケの機種」と、お客さんへの確認事項がすごく多いんですね。そんな中でマスク着用でゴネられると、ほかのお客さんに対応できなくなる。

 ところが、そういう人に限って空気を読まずに受付でゴネ続けるんですよ。店が用意している予備のマスクを渡しても、頑なにつけようとしなかったり、ハイハイと返事だけしてすぐ外したり。カラオケ店に来る時点で感染対策に無関心なのかもしれませんが……。あと、その手の面倒くさいお客さんは、なぜか女性より男性のほうが圧倒的に多いです。