料金説明をまったく聞かずに会計でキレる客
──そうしたヤバい客で印象に残っている人はいますか。
近藤 やっぱりノーマスクで来店し、受付時の説明を全然聞いていなかったためにトラブルになった男性2人のお客さんがいました。僕が働いていた店は通常の料金に1500円をプラスして払えば「持ち込みOK」で、その客にもそう説明したんですね。
でも、3~4時間後に部屋から出てきた2人に「3~4時間分の通常料金」「プラス1500円」を請求したら、「はあ? どういうこと?」「なんでだよ! おかしい!」と騒ぎ始めて……。
──つまり、その男性2人は持ち込み分の1500円だけでいつまでもいられると勘違いしていた?
近藤 そうみたいです。「1500円だけって聞いた」と主張するんですが、そんなこと言うはずがない。受付時にちゃんと説明をしているんです。そうしたら「俺たちが悪いっていうの?」とネチネチ絡んできて、絶対に自分の非を認めようとしない。
最終的に正規料金を払って「もう二度と来ない」と捨て台詞を残して帰っていったんですが、おそらく30分はフロントでゴネ続けたと思います。その間、こちらはずっと平謝りです。
──理不尽ですね。警察を呼んだりはしないんですか。
近藤 もちろん警察沙汰にすることも考えました。ただ、警察を呼ぶか呼ばないかのギリギリのラインでお金を払って帰っていったので。そもそも深夜のカラオケ店のお客さんって、ほぼ全員が泥酔しているから、タチが悪くなる人が多くて、こういうことはしょっちゅうあるんです。
料金説明を聞いていなかったり、酔って忘れちゃったりして、会計時に「なんでこんなに高いんだ!」ってカウンターに蹴りを入れる人もザラ。物を投げつけてくるお客さんもいます。酔っぱらい相手だから、とにかく僕らが謝る以外ないんです。
個室で嘔吐したり性行為をするのは日常茶飯事
一方、「コロナ以前もコロナ以降も、客のヤバさやたちの悪さはそれほど変わらない」と話すのは、昨年11月まで首都圏のカラオケ店で働いていた前島裕司さん(仮名、25歳)だ。
──そんなにカラオケ店の客って変な人が多いんですか。
前島 もともとヤバい人が来店するというより、カラオケ店って「お酒を提供する」「個室で騒げる」「若い客が多い」と悪酔いする条件が揃っているから、単純に酔っぱらいが多いんですよ。たとえば、個室やトイレを吐瀉物まみれにする、グラスを割る、その割れたグラスで手を切って大騒ぎする、お酒を部屋にぶちまける……。
そういうことが日常茶飯事なんです。高田馬場などの学生街の居酒屋って、新歓コンパの時期になるとひどいことになるじゃないですか。あれが一年中繰り返されているイメージです。