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《現場責任者を書類送検》「甘い考えがあった」着ぐるみスタッフ熱中症死亡 現場責任者の”懺悔LINE”入手

大阪「ひらかたパーク」アルバイト死亡事故#2

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「アゴ紐と脇ゴムをハサミで切断しヘッドを外しました」

 パームプラザからキャラ部屋までも両脇を抱えられる形ではありますが、自分の足で歩いて帰ってきています。ただ部屋に着いてからは自分でヘッドを外す事ができず、アゴ紐と脇ゴムをハサミで切断し無理やりヘッドを外しました。この段階で既に顔色が青白く、既に呼吸が弱かった為すぐに救急車を手配しています。

 キャラ部屋へ行く階段の所の防犯カメラでトランプが通過したのが19:57。

 そこから部屋へ戻ってヘッドを外し、救急車を手配したのが20:02頃です。

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 そこからシェルを外し全身をアイシングし、応援社員が到着して心臓マッサージと人工呼吸処置を行い、AED処置も試みましたが、AEDは作動せず。約10分で救急隊員が到着し、そこからは救急隊員に処置を引き継いでいます。救急搬送の際は私が同行し、山口くんの親族が駆けつける中、1時間以上アドレナリンを投与したり心臓マッサージを行って蘇生処置を行いましたが、心臓マッサージを長く行った事で肺からの出血がひどく、これ以上の処置は山口くんを傷つけるだけになってしまうと医者から告げられ、蘇生処置を終える事となりました。

ひらかたパークの正面エントランス©文藝春秋

「2~3日前から風邪気味だったそうです」

 病院での警察からの取り調べの際に山口くんの奥様の証言で初めて知ったのですが、2~3日前から風邪気味だったそうです。山口くんを知らない方も沢山居ると思いますが、彼はダンス経験が全くなくお世辞にも上手とは言えない子です。ダンスを覚えるのも遅いしいつも周りから遅れをとっていました。奥様から聞いたのですが、サマラジ3は◎◎さんと約束したから絶対出るんだと言って毎日家で練習していたそうです。だから体調が悪かったのに無理したのかもしれません。

 なぜ体調が悪い事に気づいてやれなかったのか。

 なぜ水分補給は充分か確認できなかったのか。

 なぜ途中で止めさせる事はできなかったのか。

 なぜパームプラザでキャラを脱がせなかったのか。

 本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。

 どこかにこれぐらい大丈夫だろうという甘い考えがあったんだと思います。