4月から「年金手帳」が廃止されることをご存知だろうか?

「年金手帳」とは、今まで納付した保険料の確認や年金の各種届出の際に必要になる書類で、国民年金や厚生年金の加入時に交付されていた。

年金手帳(出典:厚生労働省)

日本に住む20歳以上60歳未満の人は、厚生年金や共済に入っている人を除いて、すべて国民年金に加入する。この年金手帳には10桁の基礎年金番号が書かれており、年金に関する手続きや、名前・住所の変更時などで必要だった。

しかし2016年にマイナンバーが登場すると、日本年金機構でも事務処理に使うようになり、2018年からは年金の各種届出・申請についてもマイナンバーが使えるようになった。

年金手帳に代わり「基礎年金番号通知書」を発行

これにより「手帳という形式の必要性がなくなっている」とし、2020年に交付された法律で「国民年金手帳から基礎年金番号通知書への切替え」が盛り込まれ、2022年4月から“年金手帳が廃止”されることになったのだ。

代わって、今後は横85mm×縦54mmでクレジットカードとほぼ同じ大きさで、基礎年金番号などが記載された「基礎年金番号通知書」が発行される。

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基礎年金番号通知書(出典:日本年金機構)

ここで気になるのが、マイナンバーがあれば基礎年金番号も不要に思えるが、なぜ「基礎年金番号通知書」が発行されるのかということ。

実は海外に住んでいる場合は、マイナンバーではなく基礎年金番号で手続きを行うのだ。また、国民年金保険料の口座振替申出などの手続きも基礎年金番号が必要になるという。

これらに関して、マイナンバーが使えない理由はあるのか?  また現在の年金手帳は、これからも持っていた方がいいのだろうか。

日本年金機構の担当者に聞いてみた。

年金手帳は今後も大切に保管してほしい

――「年金手帳」の廃止で私達の生活には何か変化はあるの?

これから年金制度に加入する方は、基礎年金番号通知書をお送りして、基礎年金番号をお知らせすることになります。既に年金に加入している方は、これまで通り年金手帳で基礎年金番号を確認することができます。ですので既に加入している方にも変化はないと言えます。


――今持っている年金手帳は大切に保管したほうがいい?

4月1日以降も年金手帳は基礎年金番号を明らかにすることができる書類ですので、今後も大切に保管してください


――4月になっても年金手帳の再交付はできる?

再交付はできなくなります。代わりとして基礎年金番号通知書を送付することになります。役割としては年金手帳と同様に基礎年金番号を明らかにするための書類になります。


――なぜ海外に住んでいる場合は、基礎年金番号が必要な手続きがあるの?

海外在住の方でマイナンバーが分からない場合は、番号をお手元に用意するのが難しいという理由があります。例えば、海外にいるご本人様が、国内にいらっしゃる方に、マイナンバーが分かる書類の発行を委任して、役所から海外に郵送してもらうという手間が発生します。ですので基礎年金番号をご利用いただくよう、ご案内しています。


――国民年金保険料の口座振替申出は、なぜ基礎年金番号が必要?

端的に言えば、事務処理の間に民間の金融機関が入ってくるからです。ですのでマイナンバーではなく、基礎年金番号を利用いただく事になっています。

(画像はイメージ)

ちなみに年金手帳以外で「基礎年金番号」を確認する方法は様々ある。例えば年金の納付書や領収書、口座振替額通知書にも書かれている。これらの方法で確認できない場合は、毎年誕生月に郵送される「ねんきん定期便」を用意した上で日本年金機構の専用電話番号に連絡すれば、後日、番号の書かれた書類が郵送される。

ただ、年金手帳は今後も保管してほしいとのことなので、必要な時に慌てないよう、この機会に改めて確認しておいてほしい。