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《北新地ビル放火》「明日は我が身。診断書や処方箋を巡るトラブルは絶えない」精神科関係者が明かす“構造的な問題点” 医師が患者の「言いなりに…」

《北新地ビル放火》「明日は我が身。診断書や処方箋を巡るトラブルは絶えない」精神科関係者が明かす“構造的な問題点” 医師が患者の「言いなりに…」

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 12月17日午前、大阪市北区の繁華街・北新地にある雑居ビル4階の心療内科・精神科の医療機関「西梅田こころとからだのクリニック」で起きた放火事件。過去に長男に対する殺人未遂罪で服役経験のある谷本盛雄容疑者(61)による、強固な殺意に基づく計画的な犯行だった可能性が高まっている。犠牲者は西澤弘太郎院長(49)を含む計25人にものぼる大惨事となった。

男が放火したクリニック ©文藝春秋

「意識不明の重体となっている谷本容疑者は、一酸化炭素中毒による低酸素脳症の状態です。一命をとりとめたとしても脳に深刻な障害を負い、回復は難しく、もう二度と会話をすることのできない植物状態になる可能性もあります」(社会部記者)

「確かに精神医療の現場にトラブルは多い」

 25人もの尊い命を奪いながら、その動機などが本人の口から語られる可能性が極めて低くなっている状況だ。

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 別の大手紙記者によると、事件が起きたクリニックは大阪屈指の繁華街の雑居ビルにあることもあり、患者リストには800人程度の名前が記載されていたという。そのうちの1人が谷本容疑者だった。

「亡くなった西澤院長から事件前に患者とのトラブルを聞いた院長の父親が、警察に相談をしていたという情報もあります。谷本容疑者とは関係がなさそうですが、クリニックでのトラブルはそう珍しいことでもなかったのかもしれません」(同前) 

谷本容疑者

 今回の事件を受けて、「確かに精神医療の現場にトラブルは多い」と語るのが早稲田メンタルクリニック(東京都新宿区)の益田裕介院長だ。益田院長は様々な「心の病」をYouTubeで解説してもいる。

「街中のメンタルクリニックを訪れる患者さんは比較的軽症の方が多いのですが、なかには会社を休職したり、生活保護を受給されている方もいます。ですから、働けないことを証明するために診断書はとても重要です。診断書の内容などで納得できずに抗議してくる患者さんも一定数いらっしゃいます」