昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

〈北京五輪以来の登場〉ワリエワ号泣 トルソワ造反 ロシア・フィギュアスケート“少女絶望工場”の実態

 現地時間27日、ロシア・フィギュアスケートの国内対抗戦チャンネル・ワン杯が最終日を迎え、女子フリーにカミラ・ワリエワが登場した。前日に行われたショートプログラムで83.63点のトップスコアを記録していたワリエワはフリーでも完璧な演技を披露し、合計257.51点。北京五輪金メダリストのアンナ・シェルバコワの合計259.02点にはわずかに及ばなかったものの、自身の高スコアに「この大会に救われた」と涙ながらに語った。

 先月開催された北京五輪ではドーピング疑惑が浮上していたワリエワ。女子フィギュアはロシアの覇権が続いていたが、リンク上で絶望する少女の姿に組織の構造的問題を指摘する声が相次いだ。“ロシアンドリーム”の闇を報じた「週刊文春」の記事を再公開する。(初出:週刊文春  2022年3月3日号 年齢・肩書き等は公開時のまま)

◆ ◆ ◆

「原料と製品。敢えてこの言葉を使いますが、でもそれが現実。メドヴェージェワは我々の工場の製品です」

 ロシアフィギュア界で“鉄の女”の異名を持つコーチ、エテリ・トゥトベリーゼ(47)はかつて、愛弟子をそう喩えていた。

ショートでは首位に立つも、ミスを連発して4位に

 金メダル最有力候補だったカミラ・ワリエワ(15)のドーピング問題は北京五輪最大のスキャンダルとなった。昨年12月25日の検査で禁止薬物の陽性反応が出たにも関わらず、スポーツ仲裁裁判所(CAS)が出場を許可したのだ。

 ショートでは首位に立つも、フリーではミスを連発して4位に転落。号泣する少女を通して見えたのは、祖国の闇ともいえる実態だ。

ワリエワは再起できるか

「2014年、陸上代表選手の告発から組織的ドーピング問題が明るみに出た。しかし今大会のフィギュアチームには以前、アンチ・ドーピング規則違反で資格停止処分になった医師が同行するなど、不正を疑われても仕方のない状況が揃っている」(スポーツ紙記者)

エテリ氏のもとに、全国から優秀な選手が集結

 女子フィギュアは近年、ロシアの覇権が続く。その立役者がエテリ氏だ。ソチ五輪団体金のユリア・リプニツカヤをはじめ、平昌五輪金のアリーナ・ザギトワ、銀のエフゲニア・メドヴェージェワらを次々と育てた。

「フィギュアのロシア代表を目指したが挫折し、アメリカに渡ってアイスショーに出演。03年には未婚で娘を出産している。メディア嫌いで知られるが、ロシア国営放送や『VOGUE』などファッション誌の取材には応じます」(現地記者)

 エテリ氏が08年から指導するモスクワのスケートクラブ「サンボ70 フルスタリヌィ」には全国から優秀な選手が“ロシアンドリーム”を夢見て集結する。