おそらく最近のホークスにはいなかったタイプではないだろうか。昨オフ、中日ドラゴンズからFAでホークスに移籍してきた又吉克樹投手。サイドスローながら最速152キロの力強い球を投げ込む投手で、非常にタフネス。ドラゴンズでは通算8シーズンで400試合に登板した鉄人だ。ホークスでは「便利屋」として活躍すると宣言して入団すると、開幕からフル回転でチームに貢献してくれている。

 開幕2戦目の3月26日に移籍後初登板し、1回無失点。連投となった27日にはきっちり三者凡退で移籍後初ホールド。29日には同点の9回に登板し、一打サヨナラのピンチを切り抜けると、10回に味方打線が勝ち越しに成功。移籍後初勝利が転がり込んできた。31日には守護神を休ませ、代わりに2点リードのセーブシチュエーションで9回のマウンドを任され、見事ホークス初セーブを挙げた。

 わずか4試合の登板で一通りコンプリート。開幕から連勝街道を歩んできたホークスに早くも欠かせないピースとなっていた。藤本監督はじめ、首脳陣から信頼を勝ち取るのが本当に早かった。

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又吉克樹

とにかく早い「又吉広報」の投稿

 又吉投手といえば、“早い”のはそれだけではない。

 ファンの心を掴むのも非常に早かった。ドラゴンズ時代からファンの間ではお馴染みだった「又吉広報」はホークスに来てからも早々に仕事をしている。試合で活躍したチームメイトの写真を撮り、ツイッターやインスタグラムに投稿。ファンにとっては、普段見られない選手たちの裏での様子や素の表情を見ることが出来て、この上ないファンサービスである。

 しかも、その仕事が本当に早い。試合が終了してツイッターを開くと、すでに又吉広報は広報している。試合に勝つと、ツイッター上はホークスファンの「たかほー!」で埋め尽くされるのだが、そのタイムラインの中に又吉投手の広報ツイートも混じり込んでいる。とにかく早いのだ。ちなみに、自身が登板した試合の後でさえ、このスピード感だ。一応、マウンド上の又吉投手のユニフォームパンツのポケットに四角い膨らみがないかチェックしてみたが、さすがになかった。攻守の切り替え並みに広報と選手の切り替えが早い、それが又吉克樹という人材だ。

 FA移籍が決まった時、ドラゴンズファンの嘆きは当然聞こえてきた。戦力としてもそうだが、広報としても貴重な人材だったからなおのこと惜しまれていたに違いない。しかし、ドラゴンズ時代の仲間の広報活動は今でも時々行っているようだ。大島洋平選手が通算250盗塁を達成した時も「おめでとうございます」とツイートし、梅津晃大投手が手術を受けた際は「急がず慌てず焦らず丁寧に治して、頑張れ梅津」とエールを込めて投稿。先輩・吉見一起さんのツイートや川上憲伸さんのYouTubeチャンネルの宣伝リツイートも忘れない。とても人情深くて、仲間想いな印象を受ける。

 最近では、もっぱら「又吉広報」のツイートの早さがホークスファンの間でも話題だが、他にもいろいろ“早い”男だった。