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驚かされたコミュニケーション能力の高さ

 まず、ホークスに入団して、チームメイトと打ち解けるのがとにかく早かった。当初、ホークスに知り合いは同郷で同い年の東浜巨投手くらいしかいなかったという。さらに、キャンプイン直前にPCR検査で陽性判定を受け、出鼻をくじかれてしまった。チームに合流できたのは第2クールからで、筑後でのC組(3軍)キャンプスタートとなった。

 余計に“転校生感”があって、普通だったら気まずさや人見知りを発揮してもおかしくない状況だが、又吉投手に全くそんな様子は感じられなかった。「あれ、前からホークスにいましたよね?」と言われんばかりの馴染み感。自らいろんな選手とコミュニケーションを取っていた。

 同じサイドスローの育成・中道佑哉投手には自ら声を掛けて一緒にキャッチボール。身振り手振りをしながら話をしていた。その後、移動中や体幹トレーニング中にも“又吉塾”が開校されていたそうだ。ドラゴンズを旅立つ前にも、後輩たちに様々な助言をしてきたという記事を見たが、移籍してきてからも早々に後輩にも気を回せるなんて……本当に良い兄貴分だ。

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 来日4年目のカーター・スチュワートJr.投手は、当初は人見知りで、周囲と目を合わせることさえ苦戦していたというのに、又吉投手は即日スチュワート投手のニコニコ笑顔を引き出していた。極めつけだったのが、ホークスのバレンタイン企画の告知動画。

ホークス公式Twitterより

 

 こんなに楽しそうなスチュワート投手の姿、あまり見たことがなかったので驚きとときめきでいっぱいだった。又吉投手は「カーター、日本語も結構わかるし、みんながわかるような英語で話してくれるよ」「本当は人前に出たり、目立ったりするの好きなタイプだと思うな~」とチームメイトのキャラクターまで序盤に把握し、懐に入るのも早かった。キャンプ中、又吉投手のコミュニケーション能力の高さには本当に驚かされた。

 また、又吉投手はスポーツ用品メーカーのローリングスとアドバイザリースタッフ契約を結んでいるが、ローリングスの広告塔としてもしっかり仕事をこなしている。取材でカメラを向けると、しっかりローリングスのロゴが見えるようにグラブを立てる。意識が高すぎるのだ。

又吉投手にカメラを向けると…しっかりローリングスを強調 ©上杉あずさ

 ちなみに、ローリングスの担当者の方からこんなエピソードも伺った。野球教室で子どもたちにピッチングを見せる時、「又吉投手は3球くらいで肩を作って140キロくらいの球を投げていました」。なんと、肩を作るのも早かったのだ。さすが中継ぎタフネス右腕。

 チームに貢献するのも、ファンの心を掴むのも“最速”だった貴重な右腕が仲間入りした今季。ホークスファンとしては、又吉投手兼広報のお陰で応援する楽しみがより一層増えたのではないだろうか。

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