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――たしかに2000年代には「廃人」という言葉も生まれて、MMORPGは時間もお金も全て捧げるようなイメージがありました。現実社会での生活がある程度犠牲になることを自虐ネタにするような広告もありましたよね。

吉田 そうですねえ……当時、それくらい膨大なエネルギーを要求するゲームが流行っていたのも事実ですから(苦笑)。僕自身もそういうプレイヤーだったし、のめりこむことでしか得られない興奮とか自己顕示欲というものは確かに存在するのです。僕はその楽しさを否定する気は全然なく、繰り返しますが僕は、「そっち系の代表」みたいな人間ですので(笑)。でも新生FF14を作るにあたっては、もっと多くの人が気軽に“も”遊べるゲームにすることが大事だと思っていたということなんです。

「FF14のコミュニティは、みんなコメントが温かい!」

――FF14をプレイしていて驚くのは本当にストレスフリーなことで、中で人間関係を作らなくても全く困らずに遊べるのも快適でした。

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吉田 FF14はいろいろな部分で、2004年にサービスが開始された「World of Warcraft(以下、WoW)」というMMORPG界の大傑作を参考にさせていただいています。WoWはゲームの快適さ、プレイ体験のハードルを下げることを徹底的に追求した作品で、世界的に大流行しました。実はMMORPG業界が世界的に一時期停滞したように見えたのも、このゲームの影響が大きいです。誰もがWoWをプレイし、他にリリースされるMMORPGを遊ぶ時間が無くなった、というのが正しい認識かと思います。WoWが世界的に流行りすぎたことで、他のタイトルが継続しづらい、育ちづらい状況が長く続き、しかもWoWは日本語に対応していないので日本ではそこまで流行りませんでした。それにより、特に日本人のプレイヤーにとっては“遊ぶMMORPGがない”ような時期が続きました。でもその状況は、新生FF14にとってはチャンスでもありました。WoWの良いところを徹底研究したうえで、日本のエッセンスを取り入れたMMORPGを作れば、多くの日本人プレイヤーや家庭用ゲーム機のファンにとって、新鮮なゲーム体験を作り出せると思ったんです。

――しかしFF14は日本ではもちろん、WoWを経験した他国でも大人気になっていますよね。

吉田 ありがたいことに、確かにそうですね。特に昨年あたりからはWoWのゲーム配信で世界的に有名だったアメリカ人のAsmongoldさんやRich CampbellさんがFF14のプレイを開始してくださり、そこで更に火が付いた、という感覚はあります。その時にお2人とも、「FF14のコミュニティは、みんなコメントが温かい!」とプレイヤーたちの優しさに驚いていました。たしかに海外の掲示板サイトなどでもFF14のスレッドではポジティブな意見交換が多く、FF14とWoWを比べてどちらかをけなすような人がいても、「そういうのやめようぜ」というコメントがつくことが多いようです。