1ページ目から読む
2/2ページ目

ついに新聞社の取材を受けることに

 そんな快進撃が続くと、話はどんどん面白い方向へ展開していくもの。今度は某スポーツ紙の知り合いの記者の方から『濱野さん、オリックス実況には神アナがいると、SNS上では評判になっていますよ。今度、取材させてもらえませんか?』

 えー! 3ヶ月無敗というだけでもとても光栄なことなのに、さらに新聞社の取材まで受けることになるなんて。こっそり連戦連勝を楽しみたいと思っていた私は、ほんの一瞬だけ迷いました。しかし、こんな依頼は最初で最後。喜んでお引き受けすることに。

 取材日は6月25日。試合開始2時間前の実況席のそば。『いやぁ、もう負ける気がしませんね。今日は山本由伸投手が先発でさらに無敗記録が続きますよ』なんてことは一切言わず、ここは謙虚に『いいタイミングで担当させていただいています。この逆のパターンで負けが続く年もありましたから。今季は勝ち運に恵まれていますよ』。コメントは平凡な内容でしたが、私の表情は相当にやけていたはずです(笑)。

ADVERTISEMENT

やっぱりあった野球実況あるある

 取材が終わり、いざ実況席へ。その瞬間、頭の中に「あること」が浮かんだのです。数多くの野球実況アナが経験していると思われる有名な「野球実況あるある」。大記録について実況で言及するとその記録は消えてしまう!

『A投手、9回表をゼロに抑えますと3試合連続完封勝利。球団史上25年ぶりの快挙となります』『第一球投げました! 打ちました! センター後方へ大きな当たりだ、バックスクリーンへ入った! ホームラン! A投手惜しくも大記録ならず』。私もこのパターンでノーヒットノーランを何度かなかったことにしています(笑)。

 そんな嫌な予感を抱きながら放送スタート。山本投手は素晴らしいピッチングを続けてくれます。7回まで西武打線を被安打4本無失点に抑える好投。この時点でオリックスが1対0とリード。いいぞ、不敗神話継続だ。高まる緊張感。頼むから逃げ切って~、お願いだぁ。しかし、しかしです。8回、9回に勝ちパターンの継投が崩れてオリックスは1対3の逆転負け。やっぱりここでもあったのか「野球実況あるある」。しばし沈黙……。それでもシーズン終盤まで私の強い勝負運は変わらず、ペナントレースは実況担当試合14勝3敗5引き分けの貯金11。おかげさまでオリックス・バファローズ25年ぶりのパ・リーグ優勝という歓喜の秋を体験することができました。ありがとうございました!

 2022年プロ野球ペナントレース開幕。オリックスは山本投手の好投で開幕戦の連敗を10でストップ。山岡投手も久々の勝利を飾りました。今年も交流戦あたりから上昇していってお盆過ぎには首位固め。9月の涼しい風が吹く頃には連覇達成。そんな願いを込めながらオリックス・バファローズの戦いぶりをお伝えします。ご声援をよろしくお願いします!

◆ ◆ ◆

※「文春野球コラム ペナントレース2022」実施中。コラムがおもしろいと思ったらオリジナルサイト http://bunshun.jp/articles/53231 でHITボタンを押してください。

HIT!

この記事を応援したい方は上のボールをクリック。詳細はこちらから。