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攝津正投手が僕のことを…“売れてない芸人”が振り返る、ホークス衝撃の瞬間

文春野球コラム ペナントレース2022

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神様が与えてくれた人生最大級のご褒美

 そんな僕が今まで観たホークスの試合で一番印象に残ってるのが、2015年10月29日、華丸さん、そして原口あきまささんと一緒に神宮球場に観に行ったヤクルトとの日本シリーズ第5戦です。

 この年、僕は『世界のどっかにホウチ民』(TBS系列の深夜番組)というテレビ番組で人生初の海外を経験しました。初海外が南米ボリビア。言葉も喋れないのに3ヶ月生活するという、今振り返っても過酷な仕事でした。野犬に追いかけ回されたり、歯医者に行ったら歯に金の枠をつけられたり……と散々な目に遭いました。やっとの思いで帰ってきた僕にお笑いの神様なのか、野球の神様なのか、人生最大級のご褒美を与えてくれたのです。

 日本シリーズの戦況はホークスが3勝1敗。ホークスが勝てば球団史上初めての2年連続日本一が達成されるという、ホークスファンは生唾モノの試合でした。ホークスは期待通りの試合運びをしてくれて5点リードで9回へ。

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 いよいよ日本一が目前に迫ってきていました。その時、華丸さんから思いもよらぬ言葉が飛び出したのです。

「おい! 胴上げ、グラウンドで見れるってばい」

 え、え、えーー!? ワケも分からずに華丸さんと原口さんの後ろをついていくと、もうそこはグラウンド出入り口付近です。そして、マウンド上のサファテ投手が最後の打者を空振り三振に打ち取った瞬間、ホークスの選手たちが大きな声を上げながら三塁側ベンチから飛び出していき、歓喜の輪がグラウンドに出来あがりました。

2015年10月29日、日本シリーズを制し喜ぶホークスナイン ©時事通信社

 僕らはグラウンドの隅っこへ。大好きなホークスが日本一になる瞬間と工藤監督が胴上げされるところをグラウンドで見るという、これ以上ない場面に立ち会うことが出来たのです。本当に華丸さんのおかげです。感謝してもしきれません。

 日本一が決まったばかりのグラウンドで、3人でめちゃくちゃ興奮してるところに選手達が次々と来てハイタッチをしてくれました。華丸さん、次に原口さん、そして僕。当然ですが、選手達が皆、僕の顔を二度見するのです、僕は興奮して忘れてました。そうです、僕は売れてないのです。華丸さん原口さんと並んでハイタッチしてる最後の奴、誰?状態だったのです。

 しかし、そんな中でまさかの出来事が起きました、ホークスの大エースで、第4戦では勝利投手になっていた攝津正投手が僕とハイタッチした瞬間に「あっボリビアの人だ」と気づいてくれたのです。攝津投手は華丸さんより、原口さんよりも僕に会った事に興奮してくれたのです。めちゃくちゃしんどかったボリビアの3ヶ月の全てが報われた気持ちになりました。あの日の出来事は、僕の一生の思い出です。

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