兵庫県豊岡市にある高齢者支援施設「たじま荘」で“セラピードッグ”として働いている「まるこ」。山梨県の「犬捨て山」で生まれた雑種のまるこは、持ち前のおっとりした性格と観察力をいかしてセラピードッグになりました。どんな訓練を経て「10頭に1頭」という狭き門をくぐりぬけたのでしょうか(前編「いやし犬『まるこ』。セラピードッグがお年寄りにもたらす効果とは?」も公開中です)。

セラピードッグになれるのは10頭に1頭!

 まっ白く輝くからだでソファーに寝そべる姿は、ただの昼寝犬に見えなくもない! しかし、彼女は10頭に1頭という狭き門をくぐりぬけた“セラピードッグ”なのだ。

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「セラピードッグが来たら、いろいろとセラピーされて楽になるんだと想像していたら、なんだか、まるこ、最初は寂しそうで、ぷるぷる震えていてね。人見知りちゃんやもん。思っていたのとちゃうかった」

 と古参の職員。

2006年1月7日、まるこが日本レスキュー協会へやってきた日 ©日本レスキュー協会

 セラピードッグともなれば、特別パワーを以てして、すごい電波を発信して、まわりを一瞬で虹色に変えてしまう!……というわけではない。

 では、一般の愛玩犬と、セラピードッグを分けているものはいったいなんだろうか。

©前川政明

 特別養護老人ホーム「たじま荘」で働く“いやし犬”・まるこ(メス/12歳/雑種)。2016年には、兵庫県から顕彰された、「ジ・いやし犬」だ。彼女のケースを見てみよう。

 秋に山梨県の犬捨て山で産まれた彼女が、縁あって兵庫県伊丹市のNPO法人・日本レスキュー協会に連れてこられたのはお正月。その後、時間をかけて人に慣れながら、適性テストと、潜在性テストを受けている。

 犬の個性が決まり、性格が定まる生後8か月までに行うもので、セラピードッグに向いているか/向いていないか、の判断である。面白いことに、犬が年を取るほどに、向いているのかいないのかは分かりづらくなるという。