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8年かけて大学卒業、“実写化の人”も乗り越えて…土屋太鳳27歳が手に入れた「危なっかしさ」という魅力

2022/04/21
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赤坂5丁目ミニマラソンでの激走ぶり

 この作品に限らず、彼女から滲み出るのは、アウェーの狭い狭い立ち位置に身をねじ込み、無理やりホームにしてしまう執念。まるで「ネバーギブアップ」の具現化みたいな人である。根性と忍耐と鍛錬で、無理を可能にしていく感じ。そのブレなさのレベルが、常人とは違う。

「オールスター感謝祭 2016秋」で赤坂5丁目ミニマラソンに出走した際は、見事入賞するもフラフラで立ち上がれず、織田裕二に引きずられ回収されたり、インスタやブログ、番組のアンケートで、文字をギチギチに書き込み膨大な長文になっていたり。日本女子体育大学を8年かけて卒業するというエピソードは、不屈の精神すぎて遠い目になる。

 諦めるという単語を辞書から消し、与えられたチャンス全てに闘魂注入する彼女。私は「心の中に龍を飼っている女優」と勝手にキャラ設定している。

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 彼女の溢れ続けるエネルギーは、普通のカワイイ役だと器から漏れ出てしまい、ちょっぴり鼻についてしまう。倒すべき敵、超えるべき壁のある設定を挟むことで中和され、彼女の等身大の魅力が自然に出る気がする。

©AFLO

 映画「るろうに剣心」シリーズの操や「今際の国のアリス」のウサギ、「チア☆ダン」のわかばといった激しいアクションやダンスがある役柄では最高に凛々しく、彼女の持つ魅力がスッと入ってくる。

 映画「となりの怪物くん」や2016年のTBSドラマ「IQ246~華麗なる事件簿~」といった、超人的な感性や能力を持った主人公をフォローする立ち位置も魅力的。これこそ最も自然体な彼女に出会える設定だと思っている。

 特に「IQ246~華麗なる事件簿~」は視聴率こそ振るわなかったが、正義感と生命力のカタマリだった和藤奏子役はハマリ役! 天才・法門寺沙羅駆(織田裕二)が張る非常識バリアーに少しずつ、「明朗快活」という心の頭突きをかましていくキャラが最高にキュート。奏子の活躍と微笑ましさに毎回、「素直って最強だなあ」と思ったものだ。