「実写化の人」からの脱却
ただ、「IQ246~華麗なる事件簿~」の前後、2015〜2017年くらいは、正直「出ずっぱりの気がするけど大丈夫なのだろうか」と勝手に心配していた。というのも、その頃の少女マンガ原作の実写化映画では「あれっ、これも!?」と驚くほど、毎回彼女がヒロインだったからである。マンガの実写化ほどハードルの高いものはなく、それを次々とあてがわれるプレッシャーは大変だっただろう。ある意味あの時期が一番、彼女の壮絶な戦いだったのかも。
その時期を乗り越え、「実写化の人」のイメージ定着も吹っ切った土屋太鳳。これからも主役でも脇でも、自由自在に活動していくだろう。ウィキペディアを読むと、彼女の好物は「肉」。いらないお世話だろうが、肉を食べて体力をつけ、長く波に乗ってほしい。
ちなみに2020年の映画「フード・ラック!食運」は、世界一おいしそうに肉を頬張る土屋太鳳の姿に、空腹感が煽られる映画である。Amazonプライムビデオで視聴できるが、深夜は避けて観よう。
普段は虫一匹も殺しそうにないが、ひとたび使命を感じれば、ゴジラ一体くらい持ち上げてしまいそうなパワーを漲らせる土屋太鳳。その危なっかしいバランスが「めでたしめでたし」のあとに起こる「日常」という戦いをリアルにするのである。
「やんごとなき一族」でも、感情も雑巾も、いろんなものをぶんぶん振り回して庶民の強さを見せつけてほしい。はんなり掴みどころのない色気を持つ松下洸平との相乗効果も楽しみだ。
そして願わくば、「IQ246~華麗なる事件簿~」の続編が観たい……とコソッと付け足しておこう。和藤奏子、好きだったなあ。