トヨタ自動車系労働組合の政治団体「全トヨタ政治に参加する会(全ト参政会)」が、組合員から同意を得ずに徴収した金銭で政治献金を行っている疑いがあることが、「週刊文春」の取材でわかった。全ト参政会の内部資料を入手した。政治資金規正法違反(虚偽記載)の疑いがある。
約35万人の組合員を擁するトヨタ自動車グループの労働組合「全トヨタ労働組合連合会(全ト労連)」。政治的影響力も大きく、これまで組合出身者を組織内議員として送り込んできた。
「現在は国民民主党の浜口誠参院議員と愛知県議5人が組織内議員。旧民主党、国民民主党などで衆院議員を6期務め、昨年秋の衆院選で出馬を見送った古本伸一郎氏(現・愛知県副知事)も全ト労連出身でした」(政治部記者)
彼らに資金援助するための組織が全ト参政会だ。
「1人あたり毎月60円を徴収し、全トの各労組に設けられた全ト参政会支部の口座に集める。それを年末に全ト参政会本部の口座に集約した上で、議員側へ献金するというスキームです」(組合員)
全ト参政会の政治資金収支報告書(2020年度)によれば、23万119人から会費名目で2億2713万円を集金。そこから古本氏の関連団体や政党支部に計1億1千万円、浜口氏に計8000万円を寄付していた。
だが、「週刊文春」が入手した内部資料〈【要対応】適正運営に向けた加入手続きについて〉(昨年5月20日付)には、〈複写厳禁〉の文言が添えられた上で、以下のように記されていた。
〈各支部の適正な運営調査について、事務局補佐を通じヒアリングを実施。結果、各支部の中で「全ト参政会加入申込書による本人意志確認を取っていない支部」や、「申込書の保管期限が定められていない」といった運用不備があることを確認。/上記実態を踏まえ、対象支部に対して適正運用に向けた取り組みを実施して頂く〉