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「正社員から週2~4日のシフト勤務に、営業職から人事(内勤)に変えました」

──西口さんは、仕事と治療と「キャンサーペアレンツ」、3つの活動を並行していますよね。どのようにバランスを取っていますか?

西口 「キャンサーペアレンツ」の活動をするために、「エン・ジャパン」での仕事を正社員から週2~4日のシフト勤務に、業務内容を営業職から人事(内勤)に変えました。週1回は治療のために通院しているので、それ以外の日を「キャンサーペアレンツ」の活動に充てています。今は体調が落ち着いているのですが、体調の悪い時や入院した時はシフトを変えるなど、柔軟な対応をしてもらえるのでありがたいですね。

 

──がんと診断される前は、グループ会社の新チーム立ち上げを任されるなど、多忙な毎日だったとお聞きしました。

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西口 大学を卒業して「エン・ジャパン」に入社したのですが、がんと診断された当時は、営業職としてグループ会社での新チーム立ち上げにゼロから関わっていました。4年目でようやく軌道に乗り始めた2014年の夏くらいから下痢や倦怠感が続き、半年間で5キロも体重が減ってしまったんです。

 とにかく忙しい毎日だったので、「ストレスかな」とその時は思っていました。毎年受ける健康診断でも「異常なし」でしたから。でも、ずっと体調の悪い状態が続いていたので、消化器系の病気を疑って。2015年の1月に内視鏡検査を受けました。それでも何も見つからず、その後の検査入院で胆管がんのステージ4と診断されました。

 

──がんと診断された時のお気持ちは。

西口 最初に告知された時は、まさか自分が「がん」になるとは思っていなかったので、呆然としました。それから漠然と「怖い」という気持ちです。すぐに手術が必要と言われ、2週間後に手術を受けることになったのですが、開腹してみたら「手術はできない」と。この時はすでに、がんについてもいろいろ勉強していましたから、「ああ、手術もできないくらい悪いんだ」と、さらにショックを受けました。

──それでも、仕事に復帰しようと思ったのは、なぜですか。

西口 当然「死」は考えました。でも、実はこの時体調がよくなって元気になっていたんですよ。手術はできないものの、胆管にステントを留置し、十二指腸への胆汁の排出を確保してもらったので、ずっと続いていた下痢が治まって倦怠感もなくなったんです。体力的に弱っていたらネガティブになっていたのかもしれませんが、元気になったし「家に帰ってもすることないよな……」と。それに、ずっと仕事しかしてこなかったので「仕事を辞める」という選択肢が考えられなかった、というのもあります。