がんが見つかるのは、ある日突然です。治療先や治療法を検討してベストと思われる方法を選び、うまく軌道に乗せるまでは、患者さんも家族も情報収集に追われます。
まず、自分の罹ったがんがどんな病気なのか、どんな治療が受けられるのかを知る必要があり、日々、病気のことを考えなければなりません。
しかし、初回治療が終わった人や、術後に抗がん剤治療や放射線治療を外来通院で受けている人たちは、今度は「できるだけ病気のことを考えない時間を増やす」ことが重要になってきます。
治療が一段落しても、絶えず「再発」の不安がつきまとう。それが、「がん」という病気の非常に厄介で煩わしいところです。その不安は、実際にがんになった人にしかわからないものでもあります。四六時中、病気のことが頭から離れなければ、仕事に集中できず、支障が出てくることもある。強い不安が続けば、大きな精神的ストレスになり、患者さんの身体にも決してよくないでしょう。
予後のよい人は「楽観的な一面があり、気持ちの切り替えに長けている」
闘病しながら働くのは大変なことだと思います。これまでさまざまな患者さんにお話を伺ってきて、まず必要だと思うのは、質のよい「睡眠」と「食事」。身体のベースの底上げをすることです。しっかり眠ることができれば、腸からセロトニンという幸せホルモンが出て、気持ちも自然と引き上げられます。
これまで私が医療ジャーナリストとして取材でお目に掛かってきた予後のよい患者さんは、「どこか楽観的な一面があり、気持ちの切り替えに長けている」という共通点もありました。
過去を振り返るのではなく、明日に楽しみを見出すことや、やみくもに感じる不安をできるだけ払拭する工夫を上手にされていたのです。それが結果的に、「病気のことを考える時間を減らすこと」につながっていくのだと思います。
こうした視点から、「再発が不安な患者さんと家族に向けた本」として、次の5冊を選ばせて頂きました。