警視庁組織犯罪対策部で暴力団犯罪捜査専門の部署として知られた「組織犯罪対策4課」の名称が今月からなくなり、新たに「暴力団対策課」としてスタートを切った。前身の刑事部「捜査4課」の時代からすると、半世紀以上にわたり現場の刑事たちに愛着を持たれてきた「4課」の名前は消えることとなった。

 4課の名称は警察社会だけでなく一般の間でも広く浸透していた。暴力団事務所への「ガサ入れ(家宅捜索)」の際には、刑事らと組員との押し問答やもみ合いの場面が、これまでテレビのニュースでも繰り返し報道されてきた。警察当局の幹部は「ガサ入れの際に『4課だ! 開けろ』と大声を出すと気合が入ったものだったのだが……」と振り返る。

「事務所に入れろ」「入れない」でヤクザと怒鳴り合い

 警視庁に限らず全国各地で行われる警察による暴力団事務所のガサ入れでは、捜査員が隊列を組んで暴力団事務所に到着しても、ほぼ暴力団側が素直に捜索に応じることはない。「事務所に入れろ」「入れない」で怒鳴り合い、怒号が響くシーンをテレビのニュースで目にしたことのある人も多いだろう。

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警視庁本部庁舎 千代田区観光協会HPより

 その際、ガサに入る警察の捜査員たちが、ヤクザ顔負けの派手な色調のダブルのスーツなどのヤクザファッションに身を包んでいることも目に留まる。髪型もパンチパーマだけでなく、一部に剃りこみを入れていたり、なかにはスキンヘッドの捜査員がいることも多い。

 一見するとどちらがヤクザか分からず、ヤクザ同士の対立抗争や乱闘騒ぎと見間違えそうになる。ただ一点だけ、刑事とヤクザの若い衆との違いを識別できるのは、「組対4課」の文字が映える腕章だ。家宅捜索の際には、刑事側はほぼ全員が腕章を取り付けている。

組対4課の腕章 FNNプライムオンラインより

ガサ入れ前の入念な準備

 暴力団犯罪捜査を担当している警察当局の現役捜査員はこう事情を説明する。

「ヤクザファッションが多いのは相手に気後れしないためというのもある。情報収集などで日常的にヤクザと接触していれば、こうした服装の方がなじむ。ただこれは上司や先輩から指導されるとかはなく、自主的なもの。ヤクザファッションの刑事ばかりではなく、中には銀行マンのような身なりの捜査員も多い」