上白石が苦手なこと
かねてから上白石と親交がある、喫茶店を営む柳沢定一の息子・健一役を演じた前野朋哉(35)は、彼女を「優しい方」と明かす。
「オンエアを見て安子が辛い場面が流れた時に『安子、可哀そうだね』と直接彼女に連絡したんです。勝手に送っているだけなので『返信はいいから』と伝えても、律儀に『そうですよね』と返してくれました(笑)」
圧巻の演技を見せたのは、英語を話す場面。小学校3年から5年までメキシコで暮らした彼女は、大学でも英語とスペイン語を学べる学部を選んだ。
「進駐軍のロバートと英語で話す場面(第29話)は3分半にわたってほぼ一人語りでしたが、通しで一発OKでした。字幕も出ていますが、見ている人が英語の意味が分からなくても、感情が伝わってくるお芝居をされていた。どこまで引き出しや実力を秘めている方なんだろう、と驚きました」(前出・堀之内氏)
プロデューサーも舌を巻くほど、何でもできる上白石。だが、自ら綴ったエッセイ集『いろいろ』(NHK出版)で1つ苦手なことがあると明かしている。それが「写真撮影」だ。表紙の撮影を担当したカメラマン・山本あゆみ氏が言う。
「それは撮っていても分かります。『私を見て!』と自分の綺麗なところを撮ってほしいと思うタイプではない。でも撮影の合間に、テンションが上がると踊り出す。そんな素の彼女が出ている時こそシャッターチャンスです(笑)」
今回、初代ヒロインとして朝ドラのカメラの前に立ち続けた上白石。安子編にひと区切りがついた際、どんな言葉を口にしたのか。
冒頭の言葉に続けて、前出の堀之内氏が語る。
「『“朝ドラ”ヒロインとして現場に居られるのはこんなに幸せな時間だったのかと初めて知った』と涙ぐみながら挨拶されました。そして最後に『どうか、るいをよろしくお願いします』とおっしゃったんです。最後まで母として、という姿に私たちも泣かされました」