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ノーベル賞「もっと外交せねばいかんと思ったな」

――俳句は海外にも独自の文化として広がっています。「外国人句会」の他にも、これまで海外の方と俳句について語る機会はありましたか?

金子 EUの大統領をやっていたファンロンパイさん、彼が俳句をなさるんです。それで外務省に呼ばれた会合だったか何かで、ちょこちょこっと話したことはありましたね。それから、スウェーデンの人が俳句に関心を持っていて、私が軽いアドバイスをしたこともありました。スウェーデンというのはノーベル賞の国だから「金子くん、お前を推すから頑張れ」とでも言ってくれるかと思ったんだが、一言もそんなこと言わないんだ。これは私も、もっと外交せねばいかんと思ったな(笑)。

2015年、『文學界』のために揮毫する金子さん

――ノーベル賞といえば、スウェーデンの詩人で文学賞を受賞した、トーマス・トランストロンメルは、俳句詩という「5・7・5」を踏まえた3行詩でも評価が高いのだそうですね。

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金子 イエス、イエス。この人について語れとスウェーデン大使館に呼ばれたことがありましたね。海外の俳句詩というのは、アメリカのイマジズムの影響が強い。イマジズムというのは映像主義とでも言うのかな。例えば、エズラ・パウンドというイマジスト詩人が第2次大戦後にアメリカからヨーロッパに渡って、随分と俳句の種を蒔いてくれたんです。俳句というのは映像と相性がいいんでしょうな。

――先生はアレン・ギンズバーグ、ジャック・ケルアックと並び称される「ビート・ジェネレーション」詩人の一人、ゲーリー・スナイダーと交流がおありなんですよね?

金子 いやいや、一応形だけはね。あれは大物ですよ。西海岸、カリフォルニアのイマジスト。愛媛県がやっている正岡子規国際俳句賞ももらっている人ですね。彼は自然をどう詩の言葉にするか考えている人間で、東海岸と西海岸の自然の違いについて話を聞いたこともありました。

ゲーリー・スナイダー ©時事通信社