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「正直困っておりまして……」

 その背景を球団のグッズ開発などを担当するMD事業部MD企画課の深田哲平さんにいくつか質問した。

――なぜ、仏壇を球団グッズに?

「この企画に目を向けていただくためのアイキャッチになるような、面白くて、目立つことというのがまずは狙いでした」

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――伝統工芸品の選定はどのように?

「私共も知らないことが多いので、各県の県庁の御担当者とお話しさせていただく機会を設けています。その中で八女福島仏壇をご紹介いただきました」

――それにしても170万円という価格は驚きました!

「球団公式グッズとしてはホークス史上最高値となります。なお、これまでの最高価格グッズは2013年に発売されたホークス球団創立75周年を記念して作成された純金製(K24)の『75周年記念 金メダル』で税込み150万円でした」

 そもそも仏壇の相場は材質や大きさによって大きく変わる。球団が八女福島仏壇仏具協同組合の鶴信行理事長に話を聞いたところによれば、「木地・金具・漆など6人の職人の手に渡って、80以上の工程を経て手作りで作られる」といい、さらに「組合でもいろいろな取引をしていますが、組合員はホークスファンばかり。ぜひホークスに優勝してほしいという思いはもちろん、八女はモノづくりが盛んで、仏壇のふるさとであることもホークスのコラボをきっかけにPRになればと思って参加しました。また、じつは後継者問題もありまして。組合も設立当時は100名いたが今は30名程度。コラボをきっかけに多くのひとに知ってもらいたい、興味をもってもらいたいと思っております」と語っていたとのことだった。

深田哲平さん ©田尻耕太郎

 そして、肝心なのは、売れ行きである。

――いくつ売れました?

「いや、それがまだ……」

――ゼロ、ということ?

「はい、正直困っておりまして……」

 がっくりと肩を落とす深田さん。その目は死んでいない。矢継ぎ早に、ホークス仏壇の魅力が口から飛び出してくる。

「まず唯一、ホークスでしか買えないブランド商品になります。なにより質は最高級です。漆塗りを重厚に、金箔はふんだんに、彫刻技術も超一級です。華美でありながら精巧という表現がまさに当てはまります。また、仏壇は故人をしのぶものですが、『小さなお寺』で日々の安泰などをお祈りするもの。ファンの皆様も藤本博史監督のように必勝祈願をホークス仏壇で行うこともできるのです」

 コチラ受注生産となっているが、PayPayドーム8ゲート前の「HAWKS STORE HOME」の店内に展示されており、実物をその目で見ることができる。

 上部には銀で作られた鷹、中央にはホークスのロゴも入れ込まれており、純金箔押しの扉を開いた様子は「鷹が大きく翼を広げたように見える」ように作られているとのこと。ホークスをモチーフにしながらも本格的な仏壇だ。また、仏壇にあわせて作られた「おりん」がボール型になっているのも見逃せないポイントだ。

「ぜひ我こそは『ホークス仏壇の第1号所有者に』というお客様、まずはお問合せだけでもお待ちしております」と深田さん。

 ちなみに、訊いてみた。

 球団ファンクラブの「クラブホークス」会員ならば、HAWKS STOREでの買い物は5%割引が適用されるのだが……?

「はい、ホークス仏壇にも適用されます。また、『タカポイント』も80,750pt付くので、仏壇をお買い求めいただければ、その1点購入のみで最上級のダイヤモンドステージとなり、最上級特典も享受いただけます!」

 まだしばらくストア内には展示されるようなので、ドーム観戦の土産話の一つにまずは一目“実物”を見に行ってみてはいかがだろうか。

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