4月に大団円を迎えた連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』でアニー・ヒラカワを演じた歌手の森山良子さん。謎めいたアニーの存在は大きな話題となり、最終週が放送されるまで、秘密を抱えながらの生活を送ることに。森山さん自身も「カムカムロス」だという本作の裏側と、作品とのつながりも深い森山ファミリーの歴史について伺いました。

森山良子さん

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「アニー・ヒラカワの正体は誰にも言ってはいけない」

――『カムカムエヴリバディ』の終盤、「アニー・ヒラカワは何者か?」。これはドラマ最大の伏線回収、『カムカム』ファンにとっては大きな関心事になりました。日本中が注目する「秘密」を抱えることになったお気持ちはどんなものでしたか。

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森山良子さん(以下、森山) 昨年の夏にご依頼をいただいて、「アニー・ヒラカワの正体は誰にも言ってはいけない」とお達しがありました。私は嘘が下手なので、つらい時間でしたね。

 普通、台本には「橘安子:上白石萌音」といったように役名と演じる俳優名、事務所の名前まですべて記載されているものですけれど、私が演じた「アニー・ヒラカワ」だけは、俳優名も事務所の名前も最後まで記載されませんでした。私が演じた物証がなにもないのです(笑)。

――共演者の皆さんもアニー・ヒラカワを演じる俳優が誰で、一体彼女が何者なのか、途中までは知らなかったのでしょうか。

森山 全然、どなたもご存知なかったようです。衣装合わせで大阪に行ったとき、メインキャストの皆さんがちょうど本読みをしていらしたんですね。ご挨拶をしたのですが、まだ私がアニー役だと知らされる前だったようで、「森山さん……なぜここに?」という雰囲気でした(笑)。

濱田マリさんからは、「あっ、国家機密やん!」

――徹底したかん口令が敷かれていたことがわかります。

森山 その後にお化粧室でバッタリお会いした濱田マリさんからは、「あっ、国家機密やん!」と言われました(笑)。その頃にはもう共演者の方は知っていたのですが、皆さんにも厳しいかん口令が敷かれていたようです。制作陣の皆さんはSNSでの騒ぎも計算して楽しんでいらっしゃるような気もしました(笑)。

――「アニー・ヒラカワ=安子・ローズウッド」という事実が終盤最大のミステリーになるわけですが、役作りはどのようにされたのでしょうか。