2021年(1月~12月)、文春オンラインで反響の大きかった記事ベスト5を発表します。社会部門の第2位は、こちら!(初公開日 2021年11月7日)
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夜の欲望と夢を燃やし、70年続いた「ちょんの間」の灯は、このまま消えていくのだろうか。
戦後の赤線・青線に起源を持つ兵庫県尼崎市の花街「かんなみ新地」。この街で営業を続けていた約30店が11月に入り、一斉に閉店した。遊郭の流れをくむ大阪の飛田新地や松島新地、かつて京都にあった五条楽園と肩を並べた関西有数の色街は、最近も全国から男性客が絶えなかったというが……。
「11月1日付で地元・尼崎市長と兵庫県警尼崎南署長の連名で、営業を続けるかんなみ新地の店舗に向けた警告書が出されたのです。風営法に基づき、風俗営業をやめるよう求める内容でした。突然のことで店側はもちろん、愛好者たちも驚いています。昭和の雰囲気を色濃く残す街並みでもあり、街並みを見に来るだけの観光客もいた場所でした」(地元社会部記者)
かんなみ新地は戦後間もない1950年ごろ、遊郭として始まった。58年の売春防止法施行により遊郭は廃止されたが、一部の店は「飲食店」の名目のまま風俗サービスを提供し続けていた。阪神尼崎駅から徒歩で10分余り。駅前の商店街を抜けた先の住宅街の一角にあり、名称は住所地の「尼崎市神田南通3丁目」に由来する。