この3月まで放送されたドラマ『妻、小学生になる。』は、堤真一演じる男の前に、10年前に死別した妻の生まれ変わりだという小学生が現れたことから物語が展開した。転生した妻を演じた子役の毎田暖乃(10歳)は、中身は大人の女性に見事になりきって注目された。
いまから19年前の2003年にも、よく似た設定のドラマ『14ヶ月~妻が子供に還っていく~』で、少女に若返った大人の女性を9歳の子役が演じて評判をとった。
彼女は同じダンススクールに通う友人に誘われてオーディションを受け、この役を勝ち取っていた。ただ、そのころはダンサー志望で、芝居にはまったく興味はなかった。それでも小さなころからドラマを見るのは大好きで、とくに好きな作品は何十回も繰り返し見ては、気に入ったセリフを覚えて真似していた。オーディションでも特技を訊かれると、少し前のドラマ『みにくいアヒルの子』や『家なき子』の名ゼリフの再現を延々とやり続けたという。
『14ヶ月』の劇中でも、後ろを振り向くシーンで、当時好きだった『お水の花道』で財前直見がやっていた2段階で振り返るしぐさを真似したりした。本人は後年、《普通にふりむくのがつまらないと思ったんです。小賢しいガキでした(笑)》と振り返っている(※1)。
5月4日は伊藤沙莉28歳の誕生日
その子役こそ、きょう5月4日が誕生日の伊藤沙莉である。9歳にして演技の才能を覗かせていた少女も28歳になった。
子役時代の彼女が広く知られるようになったきっかけは、11歳のとき、天海祐希主演のドラマ『女王の教室』で、教師役の天海が担任するクラスのいじめっ子の役を演じたことだ。当時の雑誌のアンケートでは今後の目標は? との質問に《歌も歌って、もちろん演技もダンスも作詞もしたいし、作曲もしたいです。ドラマも作ってみたいし……なんでもできるようになって、どんな役でもこなせるようになって、No.1目指します!!》と答えていた(※2)。
いまやまさに「どんな役でもこなせる」俳優となり、ここ数年はドラマ・映画・舞台と出演作が引きも切らないが、そこまでの道のりはけっして平坦ではなかった。中学生になると以前ほどオーディションに合格できなくなったこともあり、芸能界以外の道に進むことも真剣に考えるようになる。