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娘の受験では妻が緊張するハプニングも

 妻は、僕のこと、子どものこと、家庭のことをよく考えてくれている。僕が気付くよりも早くお中元や年賀状の手配をしてくれたり、老後のことを考えて年金について勉強してくれたり。芸人仲間が遊びに来た時の立ち回りもそつがない。

 姉さん女房でしっかり者の妻には、助けられてばかりだ。でも、いつもは頼りない僕でも、たまには妻を支える場面もなくはない。

(写真:KADOKAWA)

 娘の幼稚園のお受験では、面接試験の対策などを妻が入念に準備してくれた。もちろん僕も自分なりに調べたが、僕が気付かないような部分まで「こうしたほうがいいよ」とか「あれ見ておいて」とか妻がアドバイスをくれる。

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 お受験の面接当日も、面接官の質問に妻が率先して答えていた。ところが、最初は上手に受け答えしているように聞こえた妻の話が、まとまらなくなってしまった瞬間があった。妻の口から言葉は次々と出てくるが、横で聞いていると「あれ、何の話をしてるんやろ……?」という感じで話が迷子になってしまったのだ。僕は「つまりですね……」と口をはさんで、さりげなく妻の話を引き取ることにした。

 何事にも動じないような頼もしさのある妻でも、娘のお受験の時は相当緊張していたんだと思う。人しか合格しないと言われていたお受験に、その日だけで200人近い子どもたちが集まっていたのだ。その光景を目にして、妻は固くなってしまったのだろう。

 妻の話を引き取った僕が面接官と話している間に、妻は落ち着きを取り戻し、その後はいつもどおりの頼もしい妻に戻っていった。ささいなことかもしれないが、こんなふうに支え合える関係を僕は大切にしたい。

 僕は妻と子どもと一緒にいる時間を守りたい。だから何があっても浮気はしない。

いい人でいる必要なんてない

ナダル

KADOKAWA

2022年2月25日 発売

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