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コロナ禍での“おもてなし”とは?

「チェックアウトの時などは、私を見つけるなり、お客様が『直筆が嬉しかった』と声をかけて下さいます。『心がこもっている』というお言葉もよく頂戴するようになりましたが、それもコロナ蔓延からですね」

 久美子女将が大切にしてきた「肉筆」の役割と価値がはからずも高まってきているという証である。

 久美子女将に、「肉筆以外に、コロナ禍でのおもてなしは?」と訊ねると、マスク越しでは表情でお客さんに気持ちを伝えられないし、多くの会話も難しいので、「いらっしゃいませ」のひと言が勝負だという。実際、久美子女将の「いらっしゃいませ」は、声の艶といいやわらかさといい、語尾の下げ方も、全てに慈愛が満ちた「肉声」だ。

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「瑞の里 ◯久旅館」の女将・鈴木久美子さん

撮影=山崎まゆみ

INFORMATION

瑞の里 ○久旅館

静岡県伊豆市修善寺1146
TEL:0558-72-0260
アルカリ単純泉
スタッフ数30人 部屋数26室

女将は見た 温泉旅館の表と裏 (文春文庫)

山崎 まゆみ

文藝春秋

2020年12月8日 発売