文春オンライン

「8割の社員が“仕事名”を使っています」ストーカー被害の防止にも…実名での接客をやめた温泉旅館で起きたこと

温泉女将の仕事術――「和みのお宿 滝乃湯」長松由紀子さん

2022/05/14

source : オール讀物 2022年3・4月合併号

genre : ビジネス, ライフスタイル, 働き方,

 笑顔で接客って実は難しいんです。気持ちを切り替えやすくするには“仕事名”はとても大事です」

 昔は、仲居に「やすこ」「はるこ」など下の名前を使わせている旅館もあった。

名刺の裏に書き込むもの

「うちの“仕事名”はフルネームです。名刺も“仕事名”。お客様に“捨てられない広告”として、裏には次回利用できる特典内容(例えば、「地酒1合サービスします」や「割引します」等)を書き込んで、社員の個性を出しています。

ADVERTISEMENT

 これがお客様との会話のきっかけにもなり、旅館と社員のファン作りにもなる。同じ社員の名刺を何枚も持っているお客様もいますよ」

 お客とスタッフが親しくなれば、自然と貴重な顧客情報も集まる。由紀子女将が見せてくれた分厚い手書きの顧客ファイルがその証だ。

家族旅行でもそれぞれ料理を楽しめる【選べる料理】シリーズも人気。「大人の鍋チョイス」では、写真の「雪桜もち豚しゃぶしゃぶ風」「県内産和牛すき焼き」「高千代酒造『酒粕寄せ鍋』」「一番出汁『海鮮鍋』」から鍋を選べる(写真提供=和みのお宿 滝乃湯)

撮影=山崎まゆみ

INFORMATION

和みのお宿 滝乃湯

新潟県南魚沼郡湯沢町湯沢345-1
TEL:025-784-3421
ナトリウム/マグネシウム-塩化物泉
部屋数 全18室 スタッフ数 20人
バリアフリールームも完備

女将は見た 温泉旅館の表と裏 (文春文庫)

山崎 まゆみ

文藝春秋

2020年12月8日 発売

「8割の社員が“仕事名”を使っています」ストーカー被害の防止にも…実名での接客をやめた温泉旅館で起きたこと

X(旧Twitter)をフォローして最新記事をいち早く読もう

オール讀物をフォロー