今回のポイントを押さえておきたい。私は以前から産経新聞を擬人化すると「朝日を嫌いすぎて、朝日新聞を最も熟読しているおじさん」と例えていた。そして当の朝日は産経に何を言われても相手にしないのだ。ツンツンした態度をとるのがさらに産経を苛立たせる。
安倍元首相の“やらかし”ツイート
産経記者による朝日熟読ネタはこの数日前にもあった。4月26日に産経の阿比留瑠比記者がツイッターで、朝日の森友問題についての記事に言及したのだ。ハイライトはここから。安倍晋三元首相がこのつぶやきを引用し「相変わらずの朝日新聞。珊瑚は大切に。」(4月26日)とツイートしたのである。
産経に何を言われても相手にしない朝日に対し、たまに安倍氏が産経側について朝日叩きを一緒に「熱唱」する。ものまね番組の本人登場みたいな展開なのです。
ここでいう安倍氏の「珊瑚は大切に」は1989年に朝日新聞のカメラマンが起こした珊瑚事件のことだろう。沖縄の珊瑚に「KY」という文字が落書きされていたと朝日は報道。環境破壊を憂いた記事だったがその文字を書いたのはカメラマンだった。捏造が発覚して大騒動となり当時の朝日社長は辞任。つまり安倍氏は「珊瑚」を持ち出すことで朝日の森友記事も「捏造」と言いたいのだ。そう読める。
これに関してはジャーナリストの相澤冬樹氏が日刊ゲンダイで、
《朝日の社説は、日本記者クラブで行われた赤木雅子さんの会見で、改ざんと土地売買の関係性を見据えての発言があったと伝える内容でした。それを「捏造」呼ばわりするのは、昭恵さんの存在が土地取引での特別扱いを招き、公文書改ざんへとつながったという事実を“なかったこと”にする“やらかし”ツイートと言わざるを得ません。》(5月7日)
と書いていた。安倍元首相の“やらかし”ツイートというパワーワード。