――横井さんは中学を卒業後、高校に進学していたのでしょうか。
横井 いえ、中学を卒業してからは就職しようと決めていたので、高校には進学しませんでした。シングルマザーで家も裕福ではないので、母に迷惑を掛けたくないし、それに自分の中で中絶するとしても、産んで育てるとしても、学校に行きながらっていうのは甘いと思っていて。責任を取るためにも、進学はせずに働こうと思っていました。
母には、「高校はお金がかかるし、お母さんを助けてあげたいから高校を諦めて働くからね」と伝えました。私の中学では就職支援を積極的にしていなかったので、就職先が決まらないまま卒業をしました。
彼からは「里子に出しなさい」と言われました
――それから出産までの経緯を教えてください。
横井 彼の家族と1ヶ月間話し合いをしました。子育てはどうするのか、養育費はどうするのか、認知はするのかなど、子どもが生まれてからのことを話していましたが、途中2週間くらい彼と連絡が取れなくなりました。
「名前はどうする?」「生活はどうする?」ってメッセージでやりとりしていたんですが、急に途切れてしまって。
お腹はどんどん大きくなっていくので、とても不安でした。私は育てる覚悟ができていましたが、彼はまだ現実のこととして考えていなくて、本当にこのままでいいんだろうかって。
彼の母親に「息子さんと連絡が取れません」とメッセージを送ると、「今息子と話し合っているから少し待って」と。それから数週間後に、両家族の間で話し合いの場が設けられて、彼から「里子に出してください」と伝えられました。
写真=杉山秀樹/文藝春秋
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