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《追悼》「後輩に対しても気持ちは“子分”」“還暦過ぎてもリアクション芸人”上島竜兵60歳がそれでも慕われ続ける理由

《追悼》「後輩に対しても気持ちは“子分”」“還暦過ぎてもリアクション芸人”上島竜兵60歳がそれでも慕われ続ける理由

上島竜兵さんインタビュー#1

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――意外です。それはいつ頃の話なのでしょう。

上島 今でもたまに思う日ありますよ。もともと性格的に流れに割り込んで自己主張するのが得意なタイプでもないし、リアクションって自分主体というよりは振りがあってこそ輝く芸じゃないですか。「ここでこれ言ったら面白いんじゃないかな」と思いついても、タイミングが掴めなくて言えなかったりもするし。

――収録が終わったあとは反省の方が大きいんですか。

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上島 毎回反省しかないですね。反省しない芸人っているんですかねぇ。いたら羨ましいですけど。あと最近ずっと考えてるのは、もっと大きな反省のことです。

 

「1人で番組に出るのが怖かったんだな」

――どういうことでしょう。

上島 ここ10年、つまり50歳を超えてからぐらいの話なんですけど「この仕事、ダチョウ倶楽部ではなく上島さん1人なんですけどどうしますか?」って聞かれた時に「3人だったら出るけど1人じゃ出たくない」って答えることが多かったんです。自分の中で、その方がかっこいいっていうか、美徳だと思って。

――グループ愛を感じるエピソードに聞こえます。

上島 ですよね? ただそれって、裏を返せば1人で番組に出るのが怖かったんだなと自分で最近気がついたんです。しかも「1人だと自信がない」って素直に言うならまだしも、断るのを美徳だと勘違いしてたんですよね。それに気づいた時はへこみました。僕のような芸風の人間が1人を怖がったらアウトですから。

 

――やっぱりダチョウ倶楽部のリーダー(肥後克広さん)や(寺門)ジモンさんと一緒の時が一番やりやすいんですか?

上島 それはやっぱりそうですね。先輩も後輩もいろんな人にお世話になってきましたけど、やっぱりリーダーとジモンが一緒だと自分も堂々としていられる。もともとはお芝居をやりたくて入った劇団でジモンと出会って、その後お笑い志望だったリーダーと会ったんです。リーダーが初めて書いてくれたネタが芸人養成所の忘年会や打ち上げでウケたんですよね、僕とジモンはネタが書けないから(笑)。リーダーと出会わなかったら、この世界では食っていけてなかったと思います。