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半年間の“実験”に“予行演習”まで…Aの周到な計画

「昨夏までにインターネット通販で薬品やフラスコなどを購入し、計画をスタート。昨年8月に保存されていたメモには〈侵入して即効性のあるスキサメトニウムを使用。スタンガン、拘束具で拘束〉などと記されていた。USBメモリーにも、筋弛緩剤の製造方法を記したデータが残されていました」(捜査関係者)

 こうした点から、府警はAが筋弛緩剤を“自作”したと見ている。

「筋弛緩剤は全身麻酔が必要な手術に使用される薬剤です。使用法を間違えれば、呼吸困難を招くため、医薬品医療機器等法では『毒薬』に指定されている。専門知識が無ければ、自力で製造することは難しく、Aは半年間、“実験”を重ねていたと見られます」(同前)

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事件現場付近 ©共同通信社

 今年2月に入り、Aの計画は最終段階に突入する。

「事件数日前には柴田さん宅近くの防犯カメラにAの姿が映っていた。下見をしていたと見られます。さらに事件前日にはハムスターを購入。その死骸からは筋弛緩剤の成分が検出された。最後の“予行演習”だったのでしょう」(同前)

 そして2月14日のバレンタインデー、Aは凶行に及んだのだった。だが、被疑者死亡のため、不起訴となる公算が大きい。