鳥居みゆきであることがいい方向に作用することもあれば、自分を苦しめることもあるので、毒でもあり薬でもあるという感じかな。
――薬になる時の「鳥居みゆき」とは?
鳥居 自分が無理してない状態で笑いが生まれた時。「今のは鳥居みゆきらしくなかったな」なんて悩むというのは、毒でしかなくて、「鳥居みゆきっぽくてよかったな」という時が薬ですよね。毎日それの繰り返しです。
やっぱり人と会う時はね、鳥居みゆきでいないとというのがあるので。ただもし尺が5分しかないのなら、鳥居みゆきのテンションをすっごいギューギューに詰め込んでいけるんですよ。でもそのテンションで1時間お願いしますという時がすごく辛い。「ずっとそんな私のわけないじゃん」なんですよ。
――ですよね。
鳥居 1時間あったら何回か変わっちゃうんですよ、人格もテンションも情緒も。それなのにずっと高いところで情緒を維持しているというのは、結局、嘘ついてる事になる。
――テレビ(映像)が求めるのはそういうところかもしれない。
鳥居 そうなんです。でも、実際は高い時もあれば、低い時もあります。人が求めているものが明確にわからない時もあるんで、それも大変です。ワーッというのを求めてると思ってやったのに、受け側は「えーっ」みたいになる時。
「努力しない人には失敗はない」
――そっちじゃなかったんだ、みたいな(笑)。
鳥居 違ったぞーと思って(笑)。でも、そうやって失敗するのも楽しいんです、私の中では。失敗って経験の中で一番いいやつなので。
――失敗は怖くないですか。
鳥居 失敗が怖いので、めっちゃ準備するんですけど、めっちゃ準備した上で失敗したことって役に立つじゃないですか。どこの準備が足りないのかがわかるから。それがすごい好きです。わからないことがわかることが好き。そうすると納得できるから前に進める。
――先ほど「納得できないと先に進めない」とお話しされていました。
鳥居 ここが至らなかったんだとか、そういうのってめっちゃ努力すれば見えてくるじゃないですか。でも努力しなかったら見えてこない。だから努力しない人には失敗がないんです。失敗を積むために努力をします。努力というか準備。
――「努力しない人は失敗もない」ってすごい言葉ですね。たしかに失敗がなにかもわからないかもしれない。
鳥居 準備しない人に失敗はないのと一緒です。