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過去のドラフトを振り返って判明した驚きの事実

 該当選手を挙げてみた。

1994年度 大村三郎(サブロー) 外野手 PL学園高
1997年度 渡辺正人 内野手 上宮高
2002年度 西岡剛 内野手 大阪桐蔭高

 この3名、まさに2005年の優勝と日本一、そして2010年の日本一を経験しているメンバーだ。

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 サブローは2005年、いわゆる「つなぎの4番」として活躍、2010年も後半から4番に入り、攻守に活躍して見せた。西岡は2005年にはセカンドでゴールデングラブ、ショートでベストナインという活躍を見せ、2010年にはスイッチヒッターで唯一のシーズン200安打越えを達成。渡辺正人は2005年、2010年共に怪我などで出番は少なかったが、出場した際は意外性のあるバッティングと確かな守備でチームを支えてくれた。

 この系譜に安田が名を連ねる。

 ただ単に大阪府内の高校にいた選手が1位指名されるだけで、日本一になれるとは毛頭思わない。サブローは打撃、正人は守備、西岡は脚、自分の武器をしっかり磨いた結果チームとして確固たるポジションを築き上げたのだ。

 安田はどんな選手になるのか。入団会見では「ホームラン王を獲りたい」と語った。チームでホームラン王を最後に獲ったのは落合博満。安田が生まれる前の話だ。千葉ロッテマリーンズの日本人打者でシーズン1番多くのホームランを打ったのも初芝清の25本だ。左打者となると大松尚逸の24本が最多だ。

 高校通算65本塁打の安田に夢は膨らむ。低い弾道で伸びる打球。マリンでは低い弾道は伸びやすいと聞く。ひょっとしたら安田はアーチを量産できるんじゃないか。その長打という武器は今チームでは誰も持ち合わせていないのだ。磨けばきっとチームには貢献できるし、それが続けば自ずと日本一も近づいてくる。そんな気がするのだ。

 あと、この3人の共通点をいうと、決して1年目から活躍できたわけではないことだ。西岡は3年目で100試合以上に出たが、サブローも正人もシーズン通して100試合以上に出場したのは5年目だ。マリンは長距離打者に不利だから、もう何年も長距離砲を育てられていないから。そうじゃなく安田が安田らしくアーチを架けられるように期待をしたい。ホームラン打者を求めているチーム、ホームランを打ちたい安田。チームにとってこれ以上ない利害の一致だ。

 少なくとも安田がチームにいる間必ずどこかで日本一になれるはずだ。大阪のマリーンズファンはその日が来たらきっと大歓声をあげるだろう。そしてチーム内の関西グルーヴがきっとチームを引っ張って行くはずだ。その光景を2018年はたくさん見られると信じている。

 余談だが東京オリオンズには園田喜則という大阪の北陽高校からドラフト1位指名(1966年第一次ドラフト)された選手がいた。1970年の優勝時には在籍していたが、その年の1軍出場はなかった。それでも優勝しているところを見ると、このジンクス、乗っかってみる価値があるような気がする。

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