新年度に入り、いま企業は研修シーズン。4月は新人研修、5月以降は昇格者向けの研修と、さまざまな研修が行われています。

 研修というと、近年「ブラック研修」という言葉をよく耳にするようになりました。ブラック研修とは、参加者の人格を否定したり、不可能・不可解なことを強要したりする研修です。とくに新人研修では、ブラック研修が多いと言われます。

会社員の精神を蝕む「ブラック研修」はなぜ減らないのか? 写真はイメージです ©iStock.com

 ブラック研修の実態はどうなっているのでしょうか。どうしてブラック研修が行われ、なぜなくならないのでしょうか。人事部門関係者などへの取材を元に考えてみましょう。

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ダメ出しの連続、毎朝10キロのマラソン…

 まず、ブラック研修の実態について、中堅・大手企業の社員に訊ねました。新人研修については、新入社員のマインドの変革を促すタイプのブラック研修がありました。

「わが社の新人研修には、街に出かけて興味深い通行人を10人探してインタビューするという訓練があります。私は初日、スーツ姿で慌てて走っている男性を見つけてインタビューしたのですが、報告を受けた講師は『会社員が約束に遅れないよう走るのは当たり前。興味深くない』とダメ出し。次の日は、半裸で踊っている男性を見つけてインタビューしたら、今度は『陽気も良いし、半裸で踊っていても別に珍しくない』とまたダメ出し。これを5日間繰り返していたら、最後は気が狂いそうになりました」(小売業・販売担当)

「人里離れた研修所に10日間も缶詰にされました。携帯の利用も禁止。それだけでも十分ブラックですが、研修内容は、毎朝10キロのマラソン、大声での自己紹介、会社の理念の唱和など、仕事と関係ないものばかり。しかもOKが出るまで講師から罵倒され、何度も繰り返し。私は何とか乗り切りましたが、同期の1人は途中で脱走し、そのまま退職してしまいました」(電機・製造担当)

 SNS上でよく話題になるのは新人研修。しかし、新人以外の社員にもブラック研修が行われています。この場合、マインドを変革するというよりマインドを破壊するような研修が行われているようです。