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「都心最後の一等地」明治神宮外苑、再開発の背後でうごめく“あの男”…「東京五輪の影」を感じてしまうわけ

2022/05/18
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 ここにきてまた「明治神宮外苑の再開発」が注目されています。外苑内の1000本近い樹木が伐採される見通しだからだ。

 ご存知ない方も多いと思うので、まずは流れをおさらいしたい。

 そもそも、明治神宮は、明治天皇と妻の昭憲皇太后を祀る社殿がある「内苑」、国立競技場などの施設がある「外苑」から構成されている。

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国立競技場 ©iStock.com

 今回、再開発計画が持ち上がっているのは「外苑」の方。明治神宮外苑は東京都の港区、新宿区、渋谷区にまたがり、その広大な敷地の中には、神宮球場、秩父宮ラグビー場などのスポーツ・文化施設がある。

 この地区を再開発し、老朽化した神宮球場、秩父宮ラグビー場を建て替えて、オフィスや商業施設が入る高層ビルなどを建築する計画らしい。

説明なく、樹木1000本を伐採へ

 私はこの樹木伐採の件を、毎日新聞の「風知草」というコラムを読んで知った。特別編集委員の山田孝男氏が「神宮外苑、危うし」と書いているのだ。

《国民の献金・献木・奉仕で造営された明治神宮外苑の樹木約1000本が、外苑南側の再開発で切り倒される――と聞いた(※)。神宮球場、秩父宮ラグビー場移転を含む計画の一部で、伐採の説明はない。》(毎日新聞・2月7日)

※筆者注 明治神宮が創建されたのは大正9(1920)年。建設にあたり、樹木の奉納を呼びかけたところ、全国から約10万本が寄せられ、11万人が造営工事の勤労奉仕を行った。

 冒頭から驚いた。1000本が伐採されるのに説明はない? えっ?