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「都心最後の一等地」明治神宮外苑、再開発の背後でうごめく“あの男”…「東京五輪の影」を感じてしまうわけ

2022/05/18
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再開発の背後に「あの男」

 さらに時をさかのぼろう。今から7年前の週刊誌「AERA」の記事だ。

『新国立競技場計画を迷走させた「5人の男」 すったもんだの末、白紙撤回』(2015年9月14日号)

 ご存じの通り、ザハ案は白紙撤回された。その約2ヶ月後に書かれた記事だが、ハッとする個所がいくつもある。

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《神宮外苑の高さ規制が緩和される10カ月前、公募が始まった新競技場の国際デザインコンペの基準には、すでに高さが「70メートル以下」と書かれていたのだ。JSCが決めた基準を都の審議会が追認した形になる。背後にどんな力が働いていたのか。》

 そしてある人物の名前が出てくる。

《都内の貴重な緑地として環境が守られてきた神宮外苑。「山手線内に残された最後の再開発地」と、不動産開発業者の垂涎の的でもあった。「規制を取り払うのは五輪誘致しかないと言われ、森の動きが注目されていた」》

「森の動き」とは森喜朗のことである。

©文藝春秋

《再開発には一帯の大地主である明治神宮の協力が不可欠だ。森は宗教法人を管轄する文科省に強い影響力をもつ。》

「五輪便乗焼け太り案件」

 外苑地区にある「日本青年館」の建て替えにも言及していた。「移転経費174億円」に注目し、これこそ永田町界隈で「五輪便乗焼け太り」といわれる案件だというのだ。

《築36年のビルを新競技場の周辺整備と称し、税金を使って建て直す。(中略)青年団を出身母体とする自民党政治家は少なくない。今回の建て替えでも自民党の有力議員が動いた、と言われている。》

 ここで最近に話を戻し、今年4月23日の東京新聞一面を見てみよう。

『外苑再開発の背景 明治神宮の財政 維持費が圧迫』

 いろいろと話が繋がってくるではないか。維持費が問題とはいえ、次の部分も気になる。