そうやって認知されるのがすごいコンプレックスだったので、喋るのすごく嫌でした。わざと声潰してましたもん、枕に顔を押し付けてワーッてやって(笑)。ガラガラになれば、ギリわからない。
僕は注射始めて、5本目6本目ぐらいだったかな。もう声でバレないなって思ったのは。 で、手術は25歳の時に。先に子宮を取って、その3年後に胸を取りました。
一ー性別適合手術は、若い時期にやったほうがいいのですか。
進一 絶対、若いうちのほうがいい。年を重ねるごとに、どうしたって体がオバサン化していっちゃうので。女性として年を取っちゃう。あとは、僕の場合は、早いとこ法的にも男として認められたかったのがデカいですよね。
性別適合手術、“竿”を作るかどうか問題
一ー海外で手術を受ける人もいますが、進一さんの場合は。
進一 日本でやりました。オペ費用はあっちのが安いんですけど、滞在しなきゃいけない期間だったりとかあるんで。当時、僕が計算したら海外でやると、トータルで10万ぐらいしか安くなかったんです。それくらいしか変わらないんだったら、仕事を休まなくていい日本を選びますよねって思いました。
一回あっちに行っちゃうと、最低でも2週間は滞在しなきゃいけなくて。でも日本だったら、国内であれば、上をやるにしても下をやるにしても短いんですよ。子宮だったら1泊だし、胸だったら日帰りですんじゃう。
最初の子宮は名古屋でやったんですけど、オペの2日後、3日後には普通に働いてましたからね。もう働きたいって意識が強かったし。
一ー当然、子宮を取ったことで続いていた生理も。
進一 ストップ。もう、ほんとに「取ってやったわ」という感じですね。「やっとなくなったー!」みたいな。僕からすれば、盲腸みたいなもんですからね。名古屋に置いてきましたよ、子宮(笑)。
一ー冒頭で、“竿”のあるFtMの先輩の話が出てきましたが、FtMが性別適合手術をする際に男性器を作るか否かを選ぶことができることは、一般にはあまり知られていないと思います。こうした手術への向き合い方は、世代によっても違うものですか。
進一 世代によって違うし、年配の方は“男たるもの”みたいな感じで竿にこだわる人は多いです。
でも、僕の場合は“男たるもの”というのであれば、それを最後まで活用できないと“男たるもの”と言えないでしょ、って。女性と営む時に使えなかったら意味ないでしょと思っちゃうんです。