昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

2022/05/29

 団地のように見えるマンションに妻(上戸彩)とふたりの子供と4人で慎ましく暮らしているチカラ(松本)の仕事はゴーストライター。他者の話を聞いてその人の代わりに文章にする裏方である。

 本当は自分の作品を書きたいがその夢はなかなかかなわない。その仕事のおかげもあってか他者の気持ちに寄り添うことができるためマンションの住人のトラブルを見逃せず、みんなの力になろうとするが、それもまたなかなかうまくいかずにから回りする不器用なチカラ。個性の強いイケイケな役ではない庶民の生活に寄り添う役によって松本潤のイメージが変わった視聴者もいるだろう。

『となりのチカラ』松本潤演じる中越チカラ(テレビ朝日公式サイトより)

 比較的保守的かつ高齢の視聴者が多そうな印象のあるテレビ朝日で、誠実で親切な役を演じることで、古くからの大河ドラマ視聴者との親和性を図る戦略も感じるし、この体験を経てから演じる“徳川家康”はどんな雰囲気になるのか楽しみだ。

「家康」の番宣で、現場では「食事係」と発言していた松本。つねにおいしいものを差し入れるとか。そういう現場のムードをもり立てていくことはとても大事なことで、さすがだなあと感じる。広い目で全体を見通している印象のあるチームマツジュン、チーム家康に期待したい。

変わらず親しみやすさを大事にする、相葉雅紀

 ふつうっぽい青年役といえば相葉雅紀の得意ジャンルである。嵐のなかでは最もふつうの人物を演じることを得意として来た相葉。スターであるジャニーズアイドルがふつうの役を演じることは貴重であったわけだが、いまや時代が追いついて来て、ふつうの役こそ主流になってきた。

 昨今は突出したヒーロータイプや屈折した個性的な人物など、いずれにしても目立つキャラよりは、街に溶け込んで自己主張しない、まわりに配慮しているようなキャラが共感を呼ぶ。そんなときこそ相葉雅紀である。21年10月期に放送された金曜ナイトドラマ「和田家の男たち」(テレビ朝日系)は彼の真骨頂であった。

『和田家の男たち』(テレビ朝日公式サイトより)

「和田家の男たち」はジャーナリスト三代の物語。新聞記者の祖父(段田安則)、テレビ局員の父(佐々木蔵之介)、ウェブライターの主人公・和田優(相葉)による男3人のホームドラマで、3人で食卓を囲みながらいろいろな話をして、それぞれの価値観をぶつけあう。最初は祖父や父ほどジャーナリズムにこだわりがなかった主人公がウェブで記事を書き、バズリを体験して少しずつ変化し自身の信念に目覚めていく。……書くと硬派ふうだが、相葉演じる優が毎週、おいしそうな料理を作る場面にほっこり。「優クンの台所(@wadayu_recipe)」というインスタアカウントも作られて人気を得た。

 相葉雅紀はこのような料理を作る役や、志村けんの冠番組「天才!志村どうぶつ園」(日本テレビ系。志村が亡くなったあと「嗚呼!!みんなの動物園」と改題し相葉が司会を引き継いでいる)のレギュラーとして動物に触れ合うような役割と癒やし系の世界が似合う。いつも穏やかな笑顔を絶やさず、女性や子どもたちが共感する世界を体現すること。これが自然にできることは大きな武器であろう。

 この先は舞台「ようこそ、ミナト先生」や映画「“それ”がいる森」が控えている。嵐が休止して、ライブ活動がなくなり、ファンと生で触れ合う機会がないなか、いち早く、生の舞台に出ることで親しみやすさを大事にしていることを感じさせるのも好感度が高い。