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理想とされる家庭像

 どなたもおっしゃることですが、殿下の理想とされる家庭像はやはり天皇、皇后両陛下にあると思います。ある時、皇后さまが殿下とご一緒の折に、

「小さなおうちから温かいピアノの音が聞こえるような家庭だといいのですが」

 とおっしゃったことがありました。

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 結婚して家庭を築く理想像を表された言葉だと思いますが、「小さなおうち」というのは愛情の深いまとまりのある家庭のことだと思いますし、「温かいピアノの音」というのも家庭のぬくもりを表されているのではないでしょうか。そうした家庭像がそのものズバリ出ているお言葉だと私は感じました。これまでの皇室の伝統を変えられて、ご子息を自分の手元においてお育てになった両陛下であればこそのお考えと思います。

 皇太子殿下は、この両陛下のお考えをしっかりと受け継がれ、理想的な暖かいご家庭をおつくりになるのではないでしょうか。

雅子さまと愛子さま 宮内庁提供

 以前から、殿下に対して、

「縁というものはどこに転がっているかわかりません。今日なにもなくとも、明日お会いになる方にぱっと火花が散って急にご縁ができるということもあるかもしれません」

 というようなことは何度も申し上げたし、殿下も、

「その通りですね。縁はどこにあるかわからないですね」

 と言っていらっしゃった。ですから殿下ご自身がお妃問題で焦っておられたということは、あまりなかったのではないでしょうか。

これは決まったなとピンときました

 いまにして思えば、その時も、6年前に小和田雅子さんとお会いになり、お妃候補としてお話が出始めたころも、小和田さんの姿がずっと殿下の心の中からお離れにならなかったのだと思います。

 私自身がなんとなく、小和田さんとは思わないまでもそろそろお決まりになるのではないかという感じをもったのは、昨年の梅雨のころからでした。さらに10月3日、いまでは有名になった新浜鴨場のデートのころには、私のカンでは小和田さんにお決まりになるのだろうと思っておりましたが、まだ殿下は何も私におっしゃいませんでした。

1993年1月8日、自宅前で大勢の報道陣に笑顔を見せる小和田雅子さん(当時) ©時事通信社

 そして11月15日、殿下が主宰される梓楽団の練習が御所であった時、練習の合間に私に、

「長いこと心配をかけたけれども、私も考えを固めつつあります」

 という趣旨のことをおっしゃった。これは決まったなとピンときました。お妃以外のこととは思えませんし、殿下が私にシグナルをおくってくださったのだと思いましたので、私は「そうですか」と言っただけで、後は何も申し上げませんでした。