幼い頃から鉄道ファンで、中学から高校時代にかけてJR(当時は国鉄とJRの過渡期)のほぼ全線に乗車した経験もある。基本“乗り鉄”であり、学生時代の限られた経済力の中であれこれプランを練ったのは良き思い出だ。

 その後、ホテル評論家となった私は、毎年年初にテーマを決めるようにしている。たとえば「○○チェーン全軒チェックイン」のように。体系的にホテルを理解するためにもルールを設けるのは効果的だ。

 2022年のテーマは、ホテル評論家としてはちょっと異質であるが、以前からチャレンジしたかった旅に決めた。「フルムーン夫婦グリーンパス(以下本稿では「フルムーンパス」とする」)」を使った「新幹線全線乗車」の鉄道旅である。現在9線ある新幹線に全部乗り、フルムーンパスを思う存分使い倒すのだ。

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 日本全国のホテルに泊まることにもなり、ホテル評論家の仕事を兼ねられるとも考えた。2022年の正月早々、私は久々に時刻表を購入した。

 これは、新幹線乗りまくりの7日間「弾丸フルムーン旅」の記録である。

「フルムーンパス」とは? 

 まずフルムーンパスとは、JRが発行するお得な切符で以下の条件で利用可能だ。

時刻表と大量の切符

●2人の年齢を合わせて88歳以上の夫婦が対象(どちらかまたは双方70歳以上の場合は安価なシルバー用もあり)。
●JR線のグリーン車(のぞみ・みずほなど一部の列車を除く)が自由に乗り降り可能。
●利用期間は(今季の場合)2021年10月1日から2022年6月30日まで(正月やGWなど除外期間あり)。
●5・7・12日間用があり有効期間はそれぞれ連続する5・7・12日間。
●価格は5日間用84330円、7日間用104650円、12日間用130320円(いずれも2人分)。
※その他詳細はJR各社公式サイト参照

妻は「あら、面白そうじゃない」

 当方、夫婦でゆうに88歳を超えていることもあり(シルバーパスの対象ではないが)、以前から実行しようと考えていたが、長い道中では混雑や満席もあるのだろうか、そもそも鉄道ファンでもない妻の了承は得られるのだろうか…等々いろいろ考えてしまい機を逸していた。

 だが、昨今のコロナ禍において、仕事で時に新幹線などを利用すると空席が目立つ様子を何度も目の当たりにし、「コロナ禍で打撃の鉄道各社/乗り放題切符で旅行需要掘り起こし」などというニュースを見たこともあり、今ならきっと空いているだろうと考えた。そして妻に思い切って相談したところ「あら、面白そうじゃない」と意外にもあっさり了承してくれた。