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体脂肪を極端に減らすことで生じる問題

 運動によって消費されるエネルギーが、食事から摂取するエネルギーよりも上回ると、体脂肪がエネルギー源として使われます。お腹まわりにたっぷりと脂肪がついてしまった大人にとっては喜ばしいことですが、体脂肪を必要以上に減らすと体に問題が起きてしまうので、女性アスリートはそうならないように注意が必要です。

 体脂肪はエネルギーの貯蓄や体の保温といった機能があるだけでなく、ホルモンの内分泌臓器でもあります。

 体脂肪が極端に減ると、脳内の視床下部の働きが乱れ、女性ホルモンを分泌しなさいという指令が止まり、月経がこなくなってしまいます。これが、視床下部性無月経と呼ばれるもので、過度なストレスなどでも起こることがあります。

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 女性ホルモンのエストロゲンは、骨を強くするのにも欠かせないものです。骨は皮膚や筋肉と同じように新陳代謝を繰り返しています。つまり、古い骨を壊し、新しい骨を作るというサイクルを繰り返し、強さを保っているのです。これは骨のリモデリング(再構築)と呼ばれています。

 破骨細胞が古い骨を分解し、骨芽細胞が新しい骨の合成を担当しています。女性ホルモンのエストロゲンは、破骨細胞の働きを抑える作用があるため、エストロゲンの分泌が増える成長期に女性の骨量は急激に増加します。

 高齢の女性が骨粗鬆症に悩まされることが多いのは、閉経して、骨の分解を抑制していたエストロゲンが減り、骨量が減少してしまうからです。

無月経は体からのSOSサイン

 成長期に無月経になると、骨量が減少して骨折しやすくなってしまうのはもちろん、骨の成長の妨げにもなってしまいます。

 骨量は20歳前後で最大値となり、そこから増えることはなく、加齢とともに減少していきます。先ほども書いたように、女性の場合は閉経後に減少の速度が増します。10代のうちにしっかりと骨量を増やしておかなければ、将来深刻な骨量不足になり、骨折をきっかけに寝たきりになってしまう可能性もあります。

 無月経は“今”だけの問題ではないのです。

 中学生、高校生の部活時代に骨折ばかりしていてほとんど練習ができなかったという女性アスリートがいます。おそらく、エネルギー不足をきっかけとする、骨量の減少が原因だと思います。そのアスリートは強い選手ですが、エネルギー不足や無月経に陥らないように過ごすことができていれば、もっと練習ができたはずです。トレーニングを積み、パフォーマンスを高めるためにも、無月経を無視してはいけません。無月経も体からのSOSのサインなのです。