巨人が誇る「グラブ三銃士」とは?
巨人には坂本選手以外にも、グラブへのこだわりを感じさせる選手がいます。私は「巨人グラブ三銃士」と呼んでいるのですが、彼らの凄さが世間に伝わっていないことをもどかしく感じます。
一人目は、立岡宗一郎選手。現在は故障離脱中ですが、今季は代打で起用されるケースも目立ちました。しかし、彼の捕球技術は超一流の域にあります。
立岡選手が使っているグラブメーカーは久保田スラッガー。以前に久保田スラッガーの社員から、こんな話を聞いたことがありました。
「立岡は常に一点で捕球できる。年間通してグラブの消耗の跡がほとんど見られなかったんだ。捕球技術に関しては元ソフトバンクの本多雄一並みですよ!」
いかに立岡選手の動体視力や空間認識能力が高いか伝わってきます。ちなみに、久保田スラッガーでは「ST39」という型のグラブが存在するのですが、これは立岡選手のイニシャルと背番号と言われています。控えクラスのモデルのグラブが販売されるのは、異例中の異例と言っていいでしょう。
二人目は谷岡竜平投手です。故障の影響もあって、現在は育成選手登録で奮闘中の右投手です。
こんなことを言うと大変失礼ですが、谷岡投手には私と同じ匂いを感じます。つまり、グラブマニアがそのままプロ野球選手になってしまった……というような、異常なまでのグラブ愛を感じるのです。
堀岡隼人投手のインスタグラム(@h.hori.95)に公開された谷岡投手のグラブコレクション画像を見れば、一目瞭然です。ウェブ(網部分)と本体の紐の通し方を見ると、従来よりも手が込んで強度を高めていることがわかります。私たちグラブマニアがやってみたい仕様を、プロの立場で存分に楽しんでいるように感じるのです。こんな選手、応援しないわけにはいきません!
三銃士最後のメンバーは、湯浅大選手です。健大高崎高時代から守備に定評のある内野手でしたが、最近になってグラブに大きな変化が見られました。
メーカーがミズノからウィルソンに替わり、MLBで評価されたデュアル構造(はみ出し2本形状)のグラブを使用するようになったのです。簡単に説明すると、強打者の強い打球に負けない、強度の強いグラブを使うようになったということです。
グラブにも流行り廃りがあり、最近は打者の打球のスピードアップに伴い片手で捕りやすいグラブが重宝されるようになってきました。つまり、「両手で捕れ」と教わる日本式の思想から、「片手でも捕れるようになろう」というアメリカ式の思想に転換しつつあるのです。
湯浅選手のグラブ変更は、時代の流れにマッチした意識の高さを感じます。また、このまま日本のグラブがMLB式に近づいていけば、逆シングルなど片手の捕球技術はさらに高まるはず。「日本人内野手はMLBでは通用しない」という定説は覆されるはずです。
グラブを見れば使う人の人間性もわかるし、時代の流れも見えてきます。これからも我々グラブマニアを狂喜させるような選手が現れることを心から楽しみにしています。
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