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ほうぼうから借金しまくり

 日本ではあまり報じられないようだが、ブルームバーグやフィナンシャルタイムズなど欧米メディアでは、この春、孫さんの話題に事欠かなかった。「金策」に走り回っていることがたびたび報じられたのだ。

 まず、ソフトバンクGが運営するビジョンファンドの株を担保に入れた。アポロというハゲタカファンドのグループからはすでに40億ドル借りていたが、さらに同じグループから3月に高金利で11億ドルの追加融資を受けた。これでアポロからは合計51億ドル(約6500億円)借りることになった。

 つぎにヤフーの運営会社であるZホールディングス株を子会社から借り受け、株券貸借取引で1000億円を調達した(これも3月)。Zホールディングス株を実質担保にしたということだが、この株を保有するのはソフトバンクG50%出資のAホールディングスだから、普通のやり方ではない。

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 そしてついにソフトバンクGが保有する残り少ない「虎の子」英アーム株も担保に入れた。320億ドルで購入し、600億ドルの評価で公開したいとしていたこの会社の未公開株を担保に、JPモルガンやゴールドマン・サックスといった世界11の金融機関から80億ドル(約1兆円)借りたのだ(これも3月)。

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 アームは優良企業といわれるが、大きな問題を抱える会社だ。中国現地法人の反乱により2年越しの経営権争いが続き、株式公開は危ういと見られていた。孫さんは決算説明会で「今週、新たに進展した。2人の代表員の登記が終わった」と語ったが、前トップのアレン・ウー(呉雄昴)は主たる幹部たちとともにまだ闘争を続ける姿勢を見せている。

 そもそも現下の環境ではたして孫さんが目論見通り公開できるのか。アームは半導体の設計会社であるため、フィナンシャルタイムズは、経済安全保障の観点から「アームは半国有化すべき」という英国会議員の論文を取り上げている(5月17日)。アームを買ってもらう予定だったエヌビディアの株価もピークから半分以下に落ちている。目論見通りの価格となるかどうかはわからない。

 金策はこれだけでは済まない。孫さん個人もソフトバンクGの持ち株33%を担保に入れ、340億円借りた(3月)。日本でも話題になったロボット「ペッパー」を造っていた会社は製造を止めていたが、ドイツ企業に売却した(4月)。インドネシアのジョコ大統領に約束していた新首都への投資案も「見直し」することにした(3月)。