再起を懸けて没入したインドネシアの油田開発
「谷口は太陽光発電ビジネスにもいち早く参入していて、莫大な利益を上げていました。各地の山にソーラーパネルを設置しては、設備を次々と売りさばくんです。その頃は車を複数所有し、赤いフェラーリにも乗っていました。でも、ローン詐欺で逮捕されてから数年後、今度は国税が入って、貯め込んでいた資産を追徴金でほとんど持っていかれたんです。フェラーリも手放しました」(同業者)
その後は、都内港区六本木に不動産投資系の会社を設立。仮想通貨に手を出したり、韓国で飲食店経営に乗り出すなどしたが、いずれも成功を収めることができなかった。そして2016年以降、再起を懸けて没入していったのが、インドネシアの油田開発だった。
◇
「インドネシアには古い油田がいくつもあるんです。掘り起こせば、国が買い取ってくれる。権利を押さえたら巨額の利益を生むんです」
光弘はそう熱っぽく語って、片っ端から出資金を募っていった。当面の目標額は1億円。三重、東京、インドネシアの3カ所を行き来し、インドネシアに長期滞在している期間は、大祈やAら息子たちも呼び寄せた。大祈の友人が言う。
「親父を手伝って、インドネシアで油田を掘る現場監督をやるんだと。僕らも誘われましたよ。『月に100万円出すから』って」
インドネシアに土地勘のない光弘は当初、同国にパイプを持つという日本人の老紳士と組んでいた。だが、やがてこの人物とは袂を分かつことになる。
「話が違う。騙された」
光弘は周囲にそう憤っていたという。ビジネスパートナーとの間で何が起きたのか。老紳士の電話番号に連絡すると、アフリカの某国に繋がった。
「とんでもない奴ですよ。わっはっは」
――谷口光弘を知っている?
「知っているも何も、とんでもない奴ですよ。わっはっは」
――油田事業で何があったのか。
「私はジャワ島にある、田舎の小さな油田掘りをしていて、谷口はそれに投資をすると。自ら企業や投資家からお金を集めてきたんですが、彼は韓国の女にマンションを買ったり、世界旅行に出かけたりして、遊興費に使い込んでしまったんですね。ご存知ないんですか」
――どれくらいの額を使い込んだと。
「何億かになるんじゃないですかねえ。4、5億くらいですか。私のところが使い込んだみたいに思われて迷惑したんですが、(投資した)みんなにバレて、『必ず返します』と言っていましたよ」
――光弘は油田のほか、水産ビジネスにも手を出していた?
「それは知りませんねえ。ああ、そういえば、風の噂では、現地におる奴らとまた事業をやっていたようですが、仲間割れしたと聞きましたよ。こんなの追っかけてもしょうがないでしょう。わっはっは」