米大リーグ、エンゼルスの大谷翔平(27)が6月22日のロイヤルズ戦で先発登板し、8回無失点、キャリアハイの13奪三振で6勝目(4敗)を挙げた。フィル・ネビン監督代行(51)の降板の打診を頑なに拒否しての快投だった。その前日は2本塁打で日本人メジャー選手最多8打点の大活躍。監督が交代しても低迷を打破できないチームで連日、異次元のパフォーマンスを披露し、7月いっぱいの期限を前にトレード話が加速しそうだ。

続投志願に反論できる人は皆無

 大谷は22日の試合の7回、ネビン監督代行にベンチで降板を求められると、これまで見たことがないほど険しい表情でこう言った。

「No.This is mine.」

ADVERTISEMENT

 この試合はオレのものだという言葉には怒気さえこもっていた。8回も同様の問答を経てマウンドを譲ることはなかった。担当記者が大谷の心情を察する。

大谷翔平とフィル・ネビン監督代行 ©時事通信

「チームは2連敗中で翌日は試合がなかったんですが、マイク・トラウトとジャレッド・ウォルシュの中軸2人をスタメンから外しました。抑えのライセル・イグレシアスも使わないことが決まっていた。大谷は飛車角落ちの中で登板したんです。チームとして死に物狂いで勝つつもりがない試合なら、大谷にしてみれば好きなように投げさせてもらう、と。その前日は打者で孤軍奮闘していました。『オレの試合だ』と言われてチームで反論できる人はいないでしょうね」

 大谷は昨年9月26日、10勝目がかかったマリナーズとの本拠地最終戦で、7回1失点、10奪三振と力投した。しかし打線の援護なく、1918年のベーブ・ルース以来となる同一シーズン「2桁勝利・2桁本塁打」の快挙を逃した。バットをたたきつける荒れようで、試合後には「このままでは勝てないんじゃないかな。ひりひりするような9月を過ごしたい」とふがいないチームを暗に批判。エンゼルスへの愛着を口にしつつも「それ以上に勝ちたい気持ちが強い」と移籍希望をほのめかす発言まで飛び出した。

 今回のベンチでのやり取りもチームの“負け犬体質”が依然、変わっていないことを示したものと言えるだろう。